二人 が 部屋 から 出ていった 後 、 すぐに 私も 立ち上がる 。 お姉様 と 下手ながら も 芝居 を 打つと ガウル は 特に 気にとめる 顔も せず 微笑んだ 。
私が 追っても 特に 支障がない ならば 何が 目的で 女王 は 出ていったの … ??? そう 思うのを 口に 出さぬよう 努めて 扉 を 閉じた 。
早足 で 御手洗 付近 まで 向かうと 、 少し 離れた どこかから リズ の 呻き声 が 聞こえた 。 途端 に パキッ と 心臓 が 凍りそう に なる 音が 身体 に 走る 。
使用人専用 の 懺悔室 か … その 声の 聞こえる 場所 へ そっと 近づき 、 少しだけ ドア を 開いて 耳を 傾ける 。
は ? ジウォン … ?
目の前 に いたのは 、 椅子 に もたれかかって 女王 に 寄りかかっている リズ と それに 覆い被さっている 女王 だった 。 氷の女王 、 なんて 面影は なく 嗜虐的 な 表情 を 浮かべ 愛おしそう に リズ の 頬 を 撫でている 。
私達 の 言語 は 身に付けていない はずなのに 母語 の ように 喋って 、 リズ を 弄んで 愉しんでいる 。
そして 、 リズ も 普段 とは 違う 完全 に 気の 緩み切った 顔で 蕩けた 目 を していた 。
二人 の 顔が 近付き 、 ゆらり と リズ の 腰が 揺れる 。 それに 女王 は 手を 回して 、 ぐっと 更に 自身 に 引き寄せて 。
虐められる のを 楽しんでいる ように 見える リズ の 声 は 、 とても 艶めかしく 甘美 な 響き を 孕んでいた 。
そっと 扉を 閉じて 応接間 へと 戻る 。
今の 私を 支配している のは 、 嫉妬 と 憎悪 と 愛欲 と 独占欲 だった 。 私が 知らない リズ を 女王 は 知っていて 、 私の 知らない 内に リズ は 女王 の 虜に なっていた 。
それが 堪らなく 私を 苛立たせる 。
許せない 。 リズ も 、 女王 も 。
平静 を 装って ソファ に 腰掛ける 。 笑顔 を 取り繕って ガウル へと 向けると 少しだけ 瞳が 揺れていた 。
彼女 は どこまで 知っているの だろうか 、 何も 知らないなら 滑稽だ 。 そう 思考 が 冷めていく のを 感じる 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。