ーー夜ーー
仕事が終わり、20:00に退社をする。
うりさんから、ここでと言われた街郊外の丘に着く。
周囲を見回すもまだ彼は来ていなかった。
私の話は、翔太について。
彼は元彼で過去に色々あったけど、今はなにもなくて、うりさんのことが大好きだと言うことについて。
じゃあ、うりさんは…?
この前のあのピンクの女の子の話?
仕事の話…?
それとも…
そう言葉を漏らした時、足音が聞こえた。
背後から、私を呼ぶ声。
その優しい声を聞くだけで、何故か泣きそうになる。
涙を我慢し、冷静を保ち、彼の方を向く。
言葉が出ない。
別れという言葉がよぎる度、胸が詰まる。
何を話されるんだろう?
悪い話だったらどうしよう?
悪いことばっかが駆け巡り、嗚咽しそうになる。
別れ話とかそういうのだったら、私から先に話さないと、後に話せなくなる可能性がある。
私から先に話した方が…いいよね…?
珍しく大きな声が出た。
自分でも驚いてる。
うりさんも目を見開いてる。
けど、私は進まないと。
きちんと説明しないと…!
のあさんに話したのと同じように全てを話した。
思い出したくない過去。
泣きながら話す私を見て、話し終えたあと、ものすごく辛そうな顔をするうりさん。
でも、あのときうりさんに話しておけば、こんな亀裂が入ることは無かった。
だから、うりさんにしっかり謝らないといけない。
辛そうな顔をするのも今こうなってしまったのも。
全部全部自分のせい。
嗚咽しながら話す私に頭を下げるうりさん。
でも、ほんとに全てはあのとき話せばよかった話。
うりさんが謝る必要なんて無い。
そして、最後に言いたかったことを伝える。
これを伝えれれば、このあとうりさんからどんなこと言われても良い。
私の想いが届けば、それでいい。
顔を上げはっきり伝える。
すると、うりさんは何かを決心した顔をし、カバンの中に手を入れ、両手サイズの箱のようなものを取り出した。
"言わなきゃ"といううりさんの言葉に、胸がキュッとなった。
目の前がチカチカする。
心臓がバクバクいってる。
息が吸いづらくなる。
やだッ…やめてッ!!
彼女?
愛人?
浮気相手?
セフレ?
妻?
嫌な連想が駆け回る。
やだ、聞きたくない…
けど、聞かなきゃいけない。
あれは誰なの?
距離近く歩いてて、普通では無いことは確か。
真実は聞かないことには分からない。
ゆっくり深呼吸をし、冷静になる。
何があっても、私は彼にさっき想いを伝えた。
彼がなんとあろうと、私はいい。
そう思い、うりさんを見ると、うりさんの口から返ってきたのは予想外の言葉だった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。