前の話
一覧へ
家のドアを開けると、猛吹雪だった。
雪が視界を遮る中、憂鬱な気持ちでコンクリートの道を進む。
そして強風でズレたマフラーを整え、自転車のストッパーを外した。
その時、向こうから声が聞こえてきた。
キラキラとした笑顔で白い息を吐きながら話しかけてきた。
こんな所で会うなんか、偶然だな……
晃の少し長めの髪が風で靡く。
少し笑いを交えながらそう言った。
バカにしたような顔で言ってくる。
少し顔が赤くなった気がしたが、気の所為な気がした。
かじかむ足をペダルに掛け、アスファルトの道を晃と並行で進む。
すこし吐き捨てるように言った。
目を少し開く。
目を伏せてそう言った。
晃と二人な時なんか、久しぶりだ。
お調子者で学年のリーダーの晃が、たまに羨ましく見えてくる。
晃が向こうにいる人を指さしてそう言った。
俺達は全力でペダルを漕いだ。
少し川橋との距離は遠くて、寒さで足があまり動かない。
晃がそう叫ぶと、川橋が振り返った。
川橋が面倒くさそうな顔で手を振る。
晃がそう言って気づいた。
川橋はいつも蓮と一緒に学校に来ているはずだ。
少し笑いながら川橋はそう言う。
笑い交じりに晃が言った。
川橋が少し不機嫌そうな顔をした。
その時、後ろから声が聞こえてきた。
蓮が立ち漕ぎをしながら東門に入る。
俺たちはいつもこの4人組だ。
この4人で何回遊びに行ったか数えきれない。全員親友だ。
その後、俺たちは駐輪場で輪になった。
そう。鞄持ちジャンケンは、小学校の頃から俺たちの間で行われている。
負けた人が全員の鞄を持って教室に上がるんだ。
俺たちのジャンケンは昨日負けた人はジャンケンには入らないというルール。
晁は輪から外れ、俺たちはグーの手を出した。
少しバカにしたような言い方をする川橋。
その後。
「最初はグー、ジャンケンポン!!!!」
3人の声が響いた。
自分たちの手を見ると、負けたのは川橋だった。
川橋が頭を抱える。
晁が右手を少しだけ挙げて言った。
俺たちは鞄を全部放り出して、川橋がその鞄を持った。
そういう川橋の手元を見ると、確かに鞄というよりボールになっている鞄があった。
少し吐き捨てるように言う。
俺が笑って言った。
晁もそれに乗っかって笑い声を上げる。
少し晁たちより先に歩いた。
蓮が煽るように言う。
息を切らしながら鞄を持つ川橋が、教室に入った。
晁がまた変なことした。
限界まで崩した顔に、ほぼ全員のクラスメイトが笑い声を上げる。
これがいつもの晁だ。
隙があればふざけだす。
この前は先生に向かって屁をこいたぐらいだ。
少し時間が経ち、ホームルームになった。
長岡先生が遂に眉間に皺を寄せ始めた。
みんなが晁の方に視線を向ける。
晁は配布されたプリントを貪り食っていた。
寄り目をしてこちらに向いてくる姿に、またクラス全員がどっと笑い声を上げた。
折角イケメンなのに台無しだよな……
また少し時間が経ち、次は休み時間だ。
晁が大量の宿題を机に置き、頭を抱える。
笑いながら蓮は言う。
バカみたいな会話をして、また4人で笑い合った。
‥その時、あることに気付いた。教室に俺たち以外、誰もいない。
晁がまた変な冗談を言う。
川橋が無言でドアに向かい、外を見た。
俺達がまた笑い声をあげた。
笑いながらそう言った。
少し焦ったような顔をして晃が言った。
蓮が少し目を伏せながら言った。
気づけば、もう授業開始まで後2分ほどになっていた。
俺がそう言うと、晃が後ろを見て言った。
教室を見回すと、本当に人がほぼ居なかった。
居るのは……
この2人と。
この2人と……
この2人。
あまりにも少なすぎる。
あまりにも少なすぎるので、教室がザワザワし始めた頃。
ガラガラ!!と力強くドアを開ける音が聞こえた。
物凄い形相でこちらを見てきた。
俺たちは一斉にドアに向かって走った。
その時、キンコンカンコン…と1時間目開始のチャイムが鳴った。
___________その瞬間。
足元が、ズレた。
一瞬バランスを崩してコケたかと思ったが、違った。
周りが何も見えない。ただぼやけているような、ブレているような……
物凄い耳鳴りと共に、体に浮遊感が襲う。
ロッカーの中のノートや教科書は空に浮かび、机も落ちていった。
椅子も回転しながら下へ落ちていく。
ふと自分の足元を見ると、物凄い速さで天井が迫ってきているのが見えた。
ただ叫ぶことしか出来なかった。
そしてゴッ!!と体を打ち付けた瞬間、目の前が真っ暗になった。
























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。