第17話

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2026/02/28 13:59 更新







付き合って、30日。

たった1ヶ月。

でも、あなたの下の名前はこの1ヶ月、ずっと戦ってきた。

「好きになりすぎない」って。


---

夕方

柔太朗
「今日、空けてくれてありがと」

あなたの下の名前
「記念日なんでしょ」

柔太朗
「ちゃんと覚えてるじゃん」

あなたの下の名前
「彼氏がうるさいから」

柔太朗
「うるさくない」

少し拗ねた顔。

その表情を見るだけで、胸が緩む。

(だめ)

心の中でブレーキを踏む。


---

夜景の見えるレストラン。

落ち着いた雰囲気。

柔太朗が少しだけ緊張している。

あなたの下の名前
「なに、その顔」

柔太朗
「え、どんな顔」

あなたの下の名前
「なんか、そわそわしてる」

柔太朗
「してない」

嘘が下手。


---

料理が運ばれてくる。

会話はいつも通り。

柔太朗
「最近、俺に冷たくない?」

あなたの下の名前
「冷たくない」

柔太朗
「前より“好き”言わなくなった」

あなたの下の名前
「そんなに言うもんじゃない」

柔太朗
「俺は言う派」

あなたの下の名前
「知ってる」

柔太朗
「好き」

不意打ち。

あなたの下の名前
「……」

柔太朗
「ほら」

あなたの下の名前
「なに」

柔太朗
「言って」

あなたの下の名前
「言わない」

柔太朗
「なんで」

あなたの下の名前
「調子乗るから」

本当は。

言ったら歯止めが効かなくなるから。


---

食後。

柔太朗が急に真面目な顔になる。

柔太朗
「ちょっと待って」

ポケットから、小さな箱。

心臓が跳ねる。

あなたの下の名前
「なに」

柔太朗
「1ヶ月記念」

あなたの下の名前
「え、ちょっと待って」

柔太朗
「開けて」

手が震える。

箱を開ける。

中には、シンプルなシルバーのネックレス。

しかも、二つ。

あなたの下の名前
「……なにこれ」

柔太朗
「お揃い」

息が止まる。

(だめだって)

これはだめ。

好きが、爆発するやつ。


---

柔太朗
「重くないやつ選んだ」

あなたの下の名前
「重い」

柔太朗
「え」

あなたの下の名前
「お揃いとか重い」

柔太朗
「嘘」

あなたの下の名前
「ほんと」

でも、目が逸らせない。

綺麗に光るネックレス。

柔太朗
「嫌?」

あなたの下の名前
「……」

柔太朗
「正直に言って」

胸がぎゅっとなる。

あなたの下の名前
「嫌じゃない」

柔太朗
「じゃあ?」

あなたの下の名前
「やばい」

柔太朗
「何が」

あなたの下の名前
「好きになる」

一瞬、静止。

柔太朗の目が大きくなる。

柔太朗
「もう好きでしょ」

あなたの下の名前
「これ以上」

声が震える。

あなたの下の名前
「これ以上好きになったら困るの」

柔太朗
「なんで困るの」

言えない。

1年後。

全部終わるから。


---

柔太朗は立ち上がる。

柔太朗
「つけて」

あなたの下の名前
「え」

柔太朗
「俺がつける」

後ろに回る。

距離が近い。

首元に触れる指。

体温が直接伝わる。

柔太朗
「じっとして」

あなたの下の名前
「してる」

心臓がうるさい。

ネックレスが首にかかる。

柔太朗
「似合う」

低い声。

だめだ。

ほんとにだめ。


---

あなたの下の名前
「柔太朗も」

箱からもう一つを取り出す。

震える手で近づく。

あなたの下の名前
「じっとして」

柔太朗
「はい」

首元に触れる。

近い。

近すぎる。

柔太朗の呼吸が当たる。

あなたの下の名前
「……似合う」

柔太朗
「お揃い」

嬉しそうな顔。

まっすぐすぎる。


---

柔太朗
「1ヶ月」

あなたの下の名前
「うん」

柔太朗
「来年の今日もつけてたい」

心臓が止まりそうになる。

――あと335日。

あなたの下の名前
「……」

柔太朗
「その顔なに」

あなたの下の名前
「未来の話しないで」

柔太朗
「なんで」

あなたの下の名前
「今だけでいい」

柔太朗
「俺は今も未来も欲しい」

その言葉が、深く刺さる。


---

柔太朗
「俺、本気だから」

あなたの下の名前
「知ってる」

柔太朗
「逃げないで」

あなたの下の名前
「……」

柔太朗
「お揃い、嫌だったら外してもいい」

その優しさに、涙が出そうになる。

あなたの下の名前
「外さない」

柔太朗
「ほんと?」

あなたの下の名前
「外したら、もっと好きになるから」

柔太朗
「意味わかんない」

あなたの下の名前
「わかんなくていい」


---

柔太朗が笑う。

柔太朗
「好きだよ」

あなたの下の名前
「……」

柔太朗
「今日くらい言って」

もう、無理。

抑えてたものが全部溢れる。

あなたの下の名前
「……好き」

柔太朗
「もう一回」

あなたの下の名前
「好き」

柔太朗
「俺の方が好き」

あなたの下の名前
「それはない」

笑い合う。

でも、胸はぐちゃぐちゃ。


---

1ヶ月記念日。

抑えてきた気持ちは、完全に崩れた。

首元で光るネックレス。

それは、幸せの証で。

同時に、期限付きの約束の証。

(どうしよう)

好きが、止まらない。





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