先祖代々続く呪言師の家系に生まれた俺は、他の兄弟よりも特別この力が強かった。
俺の周りの人々は口を揃えて
【この子は神に愛された子だ】と言う。
その言葉がみんなの本心だと疑わなかった幼い俺は、
新年の親族会議で真実を耳にしてしまった。
俺の力は神によって与えられたものじゃない。
実際はその逆で、
【神に愛されなかったから】
強い力を手に入れたのだと知った。
天使と悪魔。
天国と地獄。
天界と冥界。
俺が歓迎されるのは、必ず表の【俺】だけ。
ある日、学校で呪言を使って同級生に怪我を負わせた。
幸い軽いけがだった。
でも、
家族はみんな、怯えていた。
もし俺が逆上して呪言を使ったら一家もろとも滅ぼせる。
それは他でもなく俺が【悪魔に愛されてしまった子】から。
怪我を負わせてしまった人に謝罪に行った。
そこまでしか明確に思い出せる記憶がない。
朧げで、触れようとしたらさらに霞んでいく。
きっと、俺が思い出したくないから。
あの狭い牢屋で過ごした日々を思い出したら、
今度こそ
能力の桁が外れてしまう。
また、血まみれの地面を見ることになる。
そんなのは、いやだ。
数年前、俺は両親と兄を殺した。
ほとんど無意識に。
床は心地よい季節にふさわしい紅に染まって、
人とのコントラストが、キレイだった。
◯状況説明◯
すちくんの家は代々呪言師を生み出している家系。
そんなすちくんも強い力を持つ呪言師として育った。
他の呪言師と決定的に違うのは、
彼が『家族に愛されていなかった』こと。
すちくんの両親は彼が同級生に怪我を負わせた件から、彼の危険性に気づく。
だから、地下の狭い檻に閉じ込めるようになった。
そんな日々に精神が耐えきれなくなったすちくんが、牢を抜け出し、
両親達を無自我のうちに殺していた。
その光景が彼のトラウマになっている。
◯呪言、呪言師について◯
呪言とは
強い願いを込めて放った言葉が実現する能力。
願いの規模が大きいほど、術者本人への負担も大きい。
呪言師とは
呪言を使いこなす能力者を指す。
呪言師として経験が豊富、又は素質があるものは生まれつき、口元に紋様が現れる。
紋様を隠すためにマスクなどを着用する者が多い。
不明点があればコメントまで
めっちゃ長い…ごめんね💦












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。