例えば、誰かが口ずさんでいる曲に、聞き覚えがあった時。映画で似たようなシーンを前にも見た時。
既視感って、そう言う時のことを指す言葉なんだと思う。
そう … それはまさに、クラス発表後すぐのこと。
緋鉈くんと別れて、扉を開けた瞬間だった _______ 。
バリアフリーにしては広くて思い扉をスライドさせて、教室の中を一周、ぐるっと覗き込んで。
それで " 彼 " に目が止まった瞬間、身体に電撃が流れたみたいに衝撃が走った。
丸でこの空間に彼しか居ないかのように、彼から目が離せなくなる。それは、確信だった。
燃えるような、私の憧れのヒーローと同じ赤い髪と、透き通るような、ずっと大好きなヒーローと同じ白髪。
黒くあどけない瞳と、そして私がよく知っている、深くて鮮やかで澄むような、蒼い輝きをもつ瞳。
そして彼もまた、何かしらの確執を持っていた。
その日が初対面だと言うのに、歪みを確信出来てしまうほど冷たく、研ぎ澄まされた鋭い視線。
気遣うように、かつ心配そうに尋ねる一方で誰も寄せ付けない、そんな凍った雰囲気を持っている。
君の名前、轟だったりする?
特に何も考えず、そう軽々しく聞いてから。距離の詰め方間違えたかも、と思う。
その瞬間、彼は怒りのオーラを発し、聞かれたくないことだと言いたげに顔を歪めた。まさに、鬼の形相。
やばっ、初対面でこれは不味かったかな、地雷踏んだかも。そうどこか他人事のように思う。
まさか、親父のこと。
そう小さく言いかけて、はっと口をつぐむ。実際に音は溢れなかったけど、そう言いたかったんだろう。
だけど、そこの深入りは求めてない。それにエンデヴァーの話は、おそらくこの子を傷つける。
だからそう言うと、彼はまだ警戒がMAXというように、じっと視線を向けて来た。
流石に他者に対する警戒感が強いのでは。
そんなことを考えながらも、私は話題を変える。
とうや … ?
戸惑ったように返した轟の口が、小さくそう動く。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。