______________________________侑side
部活帰り角名がいきなり声を出した
なんて話していた。
ほんま自殺する奴の気が知れん。
俺は命を粗末にする人の気持ちが分からん。
生きてるの楽しいやん。
毎日ただただ楽しい
角名と治は動画を見ている。
そして聞こえた声は聞き慣れている声で
『皆さん、いらっしゃい。』
俺も片割れと同じ、強ばった顔…
俺は苛立ちと怒りに任せた
停止している画面はどうみてもツウィッターで
白くて細い手首に綺麗に整われた長い爪。
その手のひらには薬が大量に
そして
『最後に話していいかな?』
やっぱり彼女の声や…。
薬が効いてきとるんか分からんけど
呂律が回っていない。
『親友が2人居ったんやけど、縁切られたんや〜』
関西弁。更に彼女やっちゅーことが濃厚…。
『高1なって、ある先輩に惚れてしまってな。けど、遊ばれてたみたいやってん。初体験が生理中、しかも中に出される。その後何も無かったようにポイやで?ほんまおもろいわ〜。』
は?
『んで、元彼に最近会った…ってゆーよりかは、付けられとったんやけど、お誘い断ったら階段から突き落とされてもうて、散々やわ』
あの、傷は……そういう事か……
俺は何よりあなたの無事が心配やった。
自殺……動画よな……?これ…
『病院運ばれても父親は来てくれんかった…。母親が亡くなってもうた瞬間から私は独りぼっちやったんかもしれん。』
そして彼女はこう言った。
『生まれてきてごめんなさい。』
サムの声と同時に震える手であなたの連絡先に電話をかけた。
が。
〈おかけになった電話番号はおでになりません〉
角名はエゴサしていたのか
んなら、まだあなたは見つかってない……!
俺は来た道をUターンして学校へ
先生に一大事や!!って話をし一人暮らしの家と
お父さんの家を教えてもらった。
〜〜♪
サムからや!
電話を切って、あなたの実家の方へ。
何かの冗談であってくれ……。
あなたに声が似とる、少し境遇が似とる人であってくれ……。ただただそう思うしか無かった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!