文化祭のオープニングでの演奏を終えて、紗良と合流する。
いよいよ二日間に渡って行われる文化祭の1日目が始まる。
そう言いながら、フランクフルトの看板を指差す。
フランクフルトを食べた後、紗良と2人で学校中を周る。
ダンスを見て、ヨーヨー釣りして、迷路に入って、ファッションショーを見て……。
あっという間に時間がすぎていく。
裏庭は普段はお弁当を食べる人がいたりするスペース。
文化祭では使われていないから、確かに空いてるかもしれない。
高3の教室の前を通りかかり、部長の古賀先輩が売っていたジュースを買って、裏庭に向かう。
紗良の読み通り裏庭はガラガラ。
3、4人ひとがいたけど、まだベンチは空いていた。
時刻は16時。
文化祭一日目は17時までだから、あと一時間。
ただ、私にはもう一つ、行きたいところ、いや見たいところがあった。
高1のD組。
佐渡先輩のクラス。
バンド祭をやっている。
クラスの3つのグループが二時間ごとに体育館でバンドをやるらしくて、佐渡先輩は15時からだった。
本当は行きたかったけど、紗良が気まずいかなって思って言い出せなかった。
あの日、告白したあの日から、紗良と佐渡先輩は一度も話していない。
今日でちょうど一ヶ月だ。
今、紗良は佐渡先輩のこと、どう思っているのだろうか。
聞いても良いだろうか。
聞いちゃった。
そんなはっきり……。
自嘲するように笑う紗良。
少しの沈黙。
何と答えようか。
でも佐渡先輩には一途に想っている人がいるんだから、私も紗良と一緒に恋諦めなきゃだよね。
真剣な面持ちで謝りの言葉を繰り返す紗良に戸惑う。
私が必死に隠してたの、意味なかったの?
それって、まだ私が自覚してない時……!
でもあの時、私は恋心を自覚してなかったから、いないって答えた。
泣き出す紗良。
恐る恐る確認をするように聞く紗良に答える。
2人で抱きしめ合う。
恋愛とか、そんなことよりも、紗良と腹を割って話せたことが、今一番嬉しかった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。