第16話

16 文化祭
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2024/09/15 10:00 更新
奈緒先輩
奈緒先輩
あなたちゃん!一緒に帰ろ!
あなた
奈緒なお先輩!
新学期が始まり、文化祭に向けて慌ただしい日々が続く9月の半ば。

佐渡先輩とはぎこちないまま、月日だけが流れていく。


久しぶりに奈緒先輩と2人で、まだ夕日のまぶしい帰り道を歩く。
奈緒先輩
奈緒先輩
ねえ、あなたちゃん。
ひとつ聞いていい?
奈緒先輩
奈緒先輩
佐渡先輩と何かあった?
あなた
バレてますよね。
私と佐渡先輩がぎこちないの。
奈緒先輩
奈緒先輩
噂で聞いちゃったんだけど、篠崎しのざきさん、告白したんでしょ?
奈緒先輩
奈緒先輩
そのために自分の恋、諦めたんじゃない?
図星。
あなた
全部バレバレですね。
そう言って苦笑いしてその場をしのごうとした、それも奈緒先輩は分かっていたみたいだ。
奈緒先輩
奈緒先輩
ねぇ、苦笑いなんかしなくていいから。
奈緒先輩
奈緒先輩
辛かったね。
奈緒先輩の優しさに涙がこぼれる。

先輩が背中をさすってくれる手が暖かくて、心地よくて、私の目は壊れた蛇口のように水を流す。
あなた
っ、すいません。
奈緒先輩
奈緒先輩
大丈夫。
ちょっとこっちおいで。
奈緒先輩に引っ張られるようにして、駅とは反対方向の路地へ折れる。
奈緒先輩
奈緒先輩
はい、座って。
そこは、公園とも言えないような小さな空き地で、錆びた鉄棒とベンチだけが置かれていた。

奈緒先輩の隣に座ると、今までの思いが涙となってあふれていく。

先輩は何も言わず、ただ横に座っていてくれた。
奈緒先輩
奈緒先輩
帰ろっか。
どれくらい経っただろうか。

唐突に奈緒先輩が声を上げた。


私の涙は収まって、ベンチから立ち上がる。




奈緒先輩
奈緒先輩
文化祭、頑張ろうね。
あなた
はい、私頑張ります!
文化祭はもちろん。

恋愛とか友だちとか、全部。

先輩に迷惑なんかかけていられない。


いつのまにか日が沈みきった道を、先を行く奈緒先輩を追いかけるように歩いていく。





古賀部長
古賀部長
いよいよ文化祭です。
みんなで楽しみましょう!
気づけば文化祭当日。

私たち吹奏楽部は文化祭のオープニングを飾ることになっていた。


あれから少しずつだけど佐渡先輩と話すようにして、今では1学期くらいまで戻れたんじゃないかと思う。
奈緒先輩
奈緒先輩
もうすぐですね。
楠元先輩
楠元先輩
緊張してきた……!
榎村先輩
榎村先輩
絶対成功させようね!!
佐渡先輩
佐渡先輩
頑張ろうな!
あなた
はい!







       ♬♬♬







古賀部長
古賀部長
お疲れ様でしたー!
あっという間に演奏が終わってしまい、なんだか寂しく感じられる。
佐渡先輩
佐渡先輩
お疲れー。
あなた
お疲れ様です!
あなた
先輩のソロ、かっこよかったです。
佐渡先輩
佐渡先輩
ありがと。
佐渡先輩
佐渡先輩
あなたの名字さんもすごい上手かった。
中1でこんなにできるとか今後が楽しみ。
そう言いながら佐渡先輩の手が私の方へ近づいてくる。

これって、もしかして……。




頭の上に大きな手が触れる。

たった一瞬なのに心臓がバクバクと音を立てる。


そして佐渡先輩はどこかへ歩いていく。


いつまでも頭の上に残る暖かい感触。


私、やっぱり、先輩のこと 好きなんです。

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