ある日、僕は屋上へ向かっていた。
そこには瑞希と、ある女の子がいた。
この子も、元から瑞希をよく思っていなかった。
なんだか不安になって、僕は様子を眺めていた。
その子はカッターナイフで、自分の腕を切った。
僕は飛び出した。
瑞希はハッとしてこちらを振り返った。
この子の目的に気付いたみたいだ。
夏の静寂を切り裂くような悲鳴が谺する。
上空には青空が広がっていた。
もしもここが、君や僕を拒絶するような
腐った世界なのなら。
もしも僕達だけ、透き通った世界で
愛し合えたのなら___。
君が飛び込んだ踏切に、僕は立っている。
電車が通る。あの日を思い出す。
蝉の声でフラッシュバックする、
二度とは帰らぬ君。
せっかく直したお揃いのキーホルダーも、
また千切って握りしめている。
警報機が鳴る。
僕は線路の中に入る。
遮断機が完全に降りる。
鉄塊が近づく。
轟音が聞こえる。
透明な君は僕を指差していた。
君は今までの何よりも哀しそうな顔をして、
目元には涙を浮かべていた____。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。