第14話

月と影
812
2018/10/14 08:53
真っ暗な夜。
月明かりに照らされて、黒い影が二つ
屋根の上を駆けている。


スタタタタタ...
手越祐也
手越祐也
すげぇ!体が軽い‼️
はしゃぎながら先を走るのは手越。
後を増田が追いかける。
増田貴久
増田貴久
おい。この辺でいいだろ?
二人は足を止めて、したの路地を見下ろす。
人通りはほとんどない。
次にこの通りを通った人がターゲットになる。
二人は屋根の上に腰を下ろし、縁に座る。
手越祐也
手越祐也
人が来ないな...
増田貴久
増田貴久
あぁ、そーだな。
静かな夜だ...
二人の囁く声だけが響く。
どれくらいたったのだろう...




スタッ...スタッ...
足音が聞こえてくる。
二人は縁から身を乗り出して、下をみる。
歩いてくるのは30代くらいの男性だった。
増田貴久
増田貴久
男性でもいいかな?
手越祐也
手越祐也
いいんじゃない?「せーの」で行くよ?
二人は男性に襲いかかる体勢に入る。
手越祐也
手越祐也
せーのっ!
バサバサ!
男性の上に向かい飛び降りる。
男性は声も出せないほど驚いていた。
増田が素早く口を塞ぎ、手越は首筋に噛みつく。
増田貴久
増田貴久
うまくいったな。
首から滴る血を小瓶に注いでいく。
手越祐也
手越祐也
うぇ...うっ...ひっく...
血を集めている増田の横で手越は泣き始めてしまう。
手越祐也
手越祐也
ごめん、こんな、...
手を合わせ遺体に向かって頭を下げる。
増田も、血が瓶に注ぎ終わるのを確認すると、彼が灰になるまで、手を合わせて頭を下げた。
サラサラサラ...
頭の方から順に灰にかわり夜の空へと舞っていく。
増田貴久
増田貴久
こんなにもあっけなく無くなっちゃうんだね、命って...
手越祐也
手越祐也
うん...
増田は血の入った小瓶を片手に、立ち上がると、屋根の上に飛び乗る。

手越も後に続き、二つの影は再び月の下をかけていった。

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