あなたの下の名前side
私がトボトボと教室に戻ると、
ラウの手当てをしていたのであろう阿部先輩が
私に手招きした。
私は阿部先輩の目の前の椅子に座る。
消毒が傷口に染みるのを感じ、
保健室みたいだなと思った。
きっと阿部先輩は面倒見がいい方なんだな。
それからはお互いに自己紹介したりして、
あっという間に時間が過ぎた。
それから先輩方は
事あるごとに私たちと話すようになった。
朝、登校前には
私たちの寮の近くまで来て一緒に登校するが、
いつも話す内容は無い。
向井さんが元気に返すから、
佐久間先輩は毎日来るのだろう。
宮舘先輩は朝早くから起きているから
(毎日弁当を作るため)
いつもつきあわされているらしい。
…てか、たくまくんって誰?www
昼休み。
10人全員で昼食をとる。
たまに課題が終わってなくて
先輩がいらっしゃらない時があるけど。
(深澤先輩か、渡辺先輩…)
渡辺先輩はいつも宮舘先輩の弁当を
つまみ食いする。
宮舘先輩はなぜかそれを許していて、
その様子を見た阿部先輩が悶えるまでが
セット。
放課後。
なぜか日替わりで先輩一人が
迎えに来てくださる。
頼んだ覚えは無いが、楽しいからいいや。
滝沢くんからの指名が無い限り
自主練習だから、私は少ししたら訓練場に行く。
いつもは教室に残って自習してる阿部さんが
珍しく放課後すぐに訓練場にいらっしゃった。
阿部さんは途中だったであろう練習を止めて
私に手を振ってくださった。
私も手を振り返して阿部先輩の方に向かう。
練習を再開する阿部先輩。
整った姿勢で品がある。
私とは大違いだよ(笑)
見惚れるように阿部先輩の練習を観ていると、
阿部先輩に場所を譲っていただいた。
それから私が気になった姿勢から考え方まで
阿部先輩にみっちり教えていただいた。
途中で噂のブラックが垣間見えた気がするけど…
練習していた所から少し離れると
阿部先輩がドリンクをくださった。
そう言って私の頭をぽんぽんっとする阿部先輩。
…え?頭を…ぽんぽんっと?
気づくのに遅れた私は阿部先輩を少し睨んだ。
阿部先輩は「ん?」という顔をする。
いや、「ん?」じゃないですよ!
あなたが何したかわかってます?!
火照った顔を誤魔化すのに必死で、
このあとブラック阿部先輩が出ることなんて
考える余裕はなかった。




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。