side国見
4月の風はまだ冷たい
真新しい制服は肩が重くなるような感じがして苦手
眠い目を擦って人混みに飲まれそうになりながら
クラス表を見る
自分のクラスの名簿を見るも中学の時のクラスメイトが
数人いるがほとんど知らない人ばかりだ
ましてや中学の時のバレー部の部員なんて誰もいない
そんな事を考えていると前方に見慣れた姿を見つけた
他にも誰か人がいるのでいつもの事ながら
近所の人かおばあさんの道案内でもしてるんだろう
少しばかりの善意で助けてるのを手伝おうとしたけど
立ち止まってしまった
あいつが助けていたのは近所の人でもなく
おばあさんでもなくここの生徒を助けていた
偶々目があったその生徒に俺は見惚れた
名札が俺達とは違う色なので2年か3年の先輩だろう
その人は助けてもらって早々にまた転けて
何やらプリントを落としていた
転ける拍子に髪が宙へひらりと舞って
光が柔らかく反射していた
そしてまた同級生か誰かは知らないが助けて貰っていた
柔らかい声と笑顔
それだけで空気が甘くなった気がした
またどこかへかけていく背中をつい目で追ってしまう
名前も学年も何も知らないのに
でも
まだ一目惚れなんて認めたくない
認めてしまったら何かが変わってしまう気がするから
あ,金田一がこっちにやってきた
そういうと不本意そうな目でこちらを見てくる
でも今の俺にはそんなこと気にしてられない
心臓が痛いくらいに高鳴っている
どうせこいつは気づいていないだろう
でもむしろそっちの方がいい
そういいながら半ば強引に俺の手を引いて行った












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。