第8話

#7最強の能力者
5
2025/12/20 04:33 更新
カイト
さて……
少し遊ぼうか
カイト本人は笑顔だが、周りには凄い威圧感が漂っている
なんだこの差は……
血だらけになって倒れている自分との差に絶望しかける
……しっかりしろ、無能力の自分と最強を比べても何にもならない
巨人
う、うおぉ〜!
巨人も見ただけで分かる実力差に少し気後れしてるのか、覇気がない
巨人
死ねぇ〜!
カイト
真正面からのパンチ……
嫌いじゃないけど、もっと工夫しな
巨人の右ストレートを手のひらで抑える
……体格差が数倍はあるように見えるのは俺だけか?
カイト
殴るって事は、殴られる覚悟があるって事だよな?
カイトは掴んだ拳を思いっきり引き寄せる
それにつられて巨人の体が浮く
カイト
浮きな!
カイトの拳が巨人の腹にめり込む
瞬間、巨人が空に向かって一直線に飛んでいく
巨人
これは……
カイト
どうした?地面が恋しいか?
気がつけば、宙を舞う巨人の背後にカイトがいる
カイト
だったら落ちろ!
足を振り上げ、思いっきり振り落とす
巨人は先程の光景を逆再生したかのように、今度は地面に向かって飛んでくる
カイト
これで、終わらないよな?
巨人
……舐めるな!?
瓦礫の山から未だに元気そうに巨人が立ち上がる
カイト
まだやる気みたいで良かったよ
カイト
戦う気のない相手と戦っても、面白くないしな
すると、カイトは弓を構えるような態勢をとる
弓なんて持ってないじゃないか……
そう思ったのも束の間
カイト
滅しろ、"光の矢"!
カイトが矢を放つ
その時、雷が落ちたかのような閃光が走る
巨人
うっ!
直撃した巨人は大きく仰け反る
カイト
ほら、おかわりだ
矢継ぎ早に矢が放たれる
巨人はなんとか防ごうとするも、高速連射に対応出来ずに被弾する
巨人
なんのぉ!
巨人は大きく跳躍し、放物線を描いてカイトに近づく
巨人
ふん!
巨人はカイトに向かって棍棒を振るう
カイトは矢を構えた体制のままで、回避や防御したり出来そうにない
シロ
危ない!
思わず叫んだ
ドォォン
とてつもない衝撃で砂埃が舞う
砂埃が消えた時、そこには
カイトがいた
巨人
何だと!
カイト
"絶対防御オール・シャット・アウト"
その程度の攻撃で、俺を倒せると思ったか
カイトは軽い身のこなしで距離を取る
カイト
今度は、こういうのはどうだ?
瞬きをした後、俺は自分の目を疑った(棍棒寸止めの時点で既にそうだが)
眼下には、
それぞれ剣や槍など、思い思いの武器を持っている
カイト
"分身ドッペル"
どれが本物か、お前に分かるか?
9人のカイトが巨人を取り囲む
そして一斉に巨人に斬りかかる
ほぼ真正面から切り込んだ槍と、日本刀のカイトは棍棒をもろにくらい、体が崩れる
すかさず巨人は右から殴りかかったメリケンサック持ちのカイトの一撃を防ぐ
しかし防げたのも3人まで
残りの6人が一撃をいれる
正面から時間差で来た爪を装備しているカイトは、巨人の左腕の肉を抉る
左からは、ハンマーと剣の一撃がはいる
背後の大剣、レイピア、短剣のカイトがそれぞれ巨人に傷をつける
巨人
ぐふっ!
ついに巨人が膝をつく
カイト
なんだよ、もう終わりか?
もっと手応えある奴だと思ったのに
カイトの煽りに巨人は感化されたのか、咆哮をあげて立ち上がる
巨人
俺は!お前なんかに!負けない!
カイト
そうだ、その意気だ
その方が倒しがいがある
巨人へめちゃくちゃに棍棒を振り回しながら突進してくる
カイト
……なんだ、芸がないじゃないか
笑顔だったカイトの顔が、冷めた目つきに変わる
カイト
そんなんだったらもう用ないよ、バイバイ
カイトは腕を振り下ろす
その時、巨人が突然倒れた
カイト
眠りな
次起きた時は、きっと務所の中だろうね
じゃあね、暇潰しにはなったよ
カイトはその場を立ち去ろうとする
慌てて、俺はカイトの元に駆け寄る
シロ
カイトさん、助けて下さりありがとうございます
カイト
いいよいいよ、こんな事気にしなくてもいいって
ほら、顔をあげて
シロ
でもカイトさんが来なければ、俺と運び屋の命は危なかったです
だろ?運び屋……運び屋?
振り返れば、そこにいたはずの運び屋がいない
カイト
あれじゃないか?多分衝撃かなんかで気絶したんだろ
よく見れば、瓦礫の中に倒れ込んでる運び屋がいた
……まぁ、こんな大乱闘起こったら、数日前まで一般人だった運び屋は気絶するか
カイトが手をかざして呟く
カイト
"治癒ドレイン"
自分の体を見れば、傷が全て癒えていた
俺はカイトに向き直って再び頭を下げる
シロ
とにかく、俺らを助けて下さりありがとうございます
運び屋の分も礼を申し上げます
カイト
そんなにかしこまらないでよ……
そうだ、いいことを思いついた
シロ
なんですか?
自分に出来ることなら何なりと
カイト
今度、ジュース奢ってよ
言い方に引っかかったが、言える雰囲気ではなかったので、とりあえず頷く
遠くからサイレンが聞こえてくる
カイト
そろそろ帰るか
このままだとユメに会いそうだ
そう言うと、カイトは瓦礫の山を飛び跳ねて、どこかに行ってしまった
シロ
……変な人だな
俺は気絶してる運び屋を背負って、その場を離れる

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