第8話

episode2
25
2021/11/28 05:26
暗い暗い闇の中、はかりしきれない心の奥底、抜け出せない世界に抗うべきだろうか。




【パリンっ】
沙紅芦
沙紅芦
っ!?
大きく響く音にバッと目を開ける。

沙紅芦
沙紅芦
えっ・・・

目を開けると、まわりは真っ暗な暗闇だった。



何も視えなくて、でも体には意識は確かにあるのは感じた。



不安に思いながら辺りを見渡そうと、体を動かした瞬間、急に頭からちくっと痛みが走った。
沙紅芦
沙紅芦
っ!?
ものすごく痛いという訳ではなかったが、傷んだ場所に手を置いた。
沙紅芦
沙紅芦
(頭が・・・)
沙紅芦
沙紅芦
・・・・・・・・確か私は
少し痛む頭をさすりながら、先程までの自分を思い出す。




さっきまで私は、うさぎカフェに行き、倉庫がなぜか開いていたから中を見せてもらい、その中にうさぎの像があった。




それで、私は大事な物を置き願って、それで明日また来ようと帰ろうとしたら、急に足元が光って振り向くと、そこには倉庫にあったうさぎの像がなぜか居て、そしてどこからかと誰かが私に妙な言葉を言われて━━━。

沙紅芦
沙紅芦
それから、何か割れる音が聞こえて・・・・・・・・どうなったんだっけ?
そこで頭の中にある記憶が途切れる。
沙紅芦
沙紅芦
(あれ・・・・・・・・よく分からない)
うさぎ
うさぎ
『ふふ、お目覚めのようですね』
沙紅芦
沙紅芦
!?・・・・誰?
沙紅芦
沙紅芦
(この声)
突然聞こえてきたその声は、聞き覚えのあるあの声だった。



またあの声が聞こえてきた。




今度は頭に送り込んでくる感じではなく、耳から聞こえてくる声だった。
沙紅芦
沙紅芦
っ!?
すると唐突に、真っ暗な暗闇の中から、突如に眩い程に眩しい光が目の前に現れ、その中から女の子が現れた。
沙紅芦
沙紅芦
・・・おんなのこ?
うさぎ
うさぎ
『ふふ♪』
その女の子は、うさ耳の付いた帽子をここまでかという程に深く被り鼻のあたりまで隠れている為に口元だけで表情がよく分かりづらい感じだった。


沙紅芦
沙紅芦
あなたは・・・・誰?
私は静かにその女の子に尋ねた。



すると女の子は、私の質問にニコッと口元を上げ、こう答える。

うさぎ
うさぎ
『それはまだ、お答えできません♪』
沙紅芦
沙紅芦
えっ
うさぎ
うさぎ
『ですが、1つ言っておきたいことがあります』
沙紅芦
沙紅芦
言いたい事?
あなたは何を知ってるの?
そもそも、どうしてお互い知らない仲だというのに、この子はこんなにも私の事を知り尽くしているというのだろうか。



見ず知らずの少し怪しめの女の子に、突然、意味不明な言葉を浴びさせられたら、怪訝な気持ちになるのが普通だが私はなぜかそんな感情にはならず、むしろ納得してしまった感情になっていた。



私の質問に女の子は、突然、不気味な笑い声を漏らしながら意味不明な言葉を浴びせる。

うさぎ
うさぎ
『鏡を見てご覧なさい♪
あなたはいつか支配されますよ、心の闇というものに。それでもよかったら、鏡を見てご覧なさい♪うふふ♪』
沙紅芦
沙紅芦
!・・・・・・?
不気味な笑みを漏らしながら、私の掌に何かを置かれる。
沙紅芦
沙紅芦
これは・・・?
うさぎ
うさぎ
『鏡ですよ♪』
沙紅芦
沙紅芦
鏡?
鏡でも開く形のコンパクト形の鏡のようだ。



すると、女の子は静かな声で意味深な言葉を放つ。

うさぎ
うさぎ
『大事なものを取り戻したいと思うなら、刻が来るまで開けてはいけませんよ』
沙紅芦
沙紅芦
えっ刻? 刻って何ーーーー!?
その途端、視界が大きく揺れぷつりと遮断するかのようにまた真っ黒になる。
沙紅芦
沙紅芦
・・・・・・・・・・・・・・・・っ

何が起きているの?



ここは一体・・・・・・・・。


゛ 私はもう一度彼に会いたい。





  そして





  変われる強さを持ちたい。 ゛







私は何も持っていなかった。






大切なものも大事な想いも






家族も親しい人も





自分も・・・・・・・・。







私の視る世界は、すべてを色あわす事のない世界を映していた。






自分は何の価値もなく生きている意味も何も存在していない、おかしな人間なのだろうか。






何が正しく何がおかしいなんて、いままで気にしてもいなかった。

プリ小説オーディオドラマ