【橋本将生side】
今日は俺1人で真夜中のロケに来ている。
何故1人なのかは分からないが、こういうのは珍しいので正直楽しみが勝ってる。
俺は用意された車に乗った。
暗闇でよく見えないが、何かしらの建物のようだ。
カメラが回り出す。
俺はライトをつけて、中に入っていく。
扉は金属で出来ているのか、重かった。
中は妙に冷えていて、空気も重い。
そして、まるで泣き声のような音が聞こえる。
入り口のところには、エントランスのようなものが残されていた。
もうボロボロで、人がいた形跡はない。
正直言って、廃病院に行くのはあまり好きではない。
だが、その理由は怖いからではない。
だが、この時点で明らかに空気がおかしかった。
まるで俺たちを歓迎していないかのようだ。
むしろ、出て行けと言っているようにさえ感じる。
仕方なく俺は止めていた足を動かした。
廃病院というだけあって、そこにはボロボロの設備がたくさんあった。
そこには病気のことやその経過などが書かれてあった。それも、たくさん。
椅子はガタガタになっていて、倒れていた。
なぜかところどころ黒ずんでいた。
やはりこの病院は、どこかおかしい。
スタッフさんを危険に晒す訳にはいかない。
スタッフさんは俺にその自撮り棒を渡して、渋々と出て行った。
俺は再び足を動かした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!