本当に、お風呂に入ると自分の性別が目に見えるから嫌になるの。
りうらは男でいなきゃいけないはずなのに、体だけはそうはいかなくて……
どう頑張ってもりうらは中途半端。
誰にも怒られたくなくて、嫌われたくないから、男でいなきゃいけないのに。
心の奥ではありのままの自分でいたい気持ちもあって。
自分で自分がわからなくなるの。
俺がどうしたいかなんて、
私がどうしたかったかなんて、
とっくの昔に忘れちゃった。
でも、望まれたりうらを上手に演じれば、怒られずに済むから。
それでも、本当は嫌だったの。
全部嫌だった。
可愛い服を着れないのが嫌だった。
胸をサラシで潰すのが嫌だった。
ウィッグを被り続けるのが嫌だった。
みんなと同じじゃないのが嫌だった。
叩かれるのが嫌だった。
怒られるのが嫌だった。
嫌われるのが嫌だった。
嘘をつくのが嫌だった。
独りぼっちが嫌だった。
全部全部、嫌だった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。