奏音side
楓ちゃんが突如、吹奏楽部への入部をやめた次の日、私は明楽先輩から頼まれて、彼女を探しに行った。
楓ちゃんは屋上へ続く扉の目の前、階段に腰掛けていた。
彼女の隣にはどれも手作りみたいで、とても美味しそうなお弁当が置かれている。
彼女から了承を得たので、私は弁当が置かれていない方の隣に座らせてもらった。
少しずつ心を開かせてから、一気に理由を聞き出す、なんて誰かさんがやった面倒くさい事は、私の性格上似合わない。
ここはズバリ、と聞く。
私がなるべく優しそうな声を出して楓ちゃんに問いかけると、彼女は右手に持っていた箸をギュッと握った。
そして、そのまま首を横に振る。
私がさらに質問で返すと、楓ちゃんは深く頷いた。
楓ちゃんが眉を下げる。
その瞬間、私のお節介が発動してしまった。
仕方ないでしょう?
こうやって悲しそうな顔をしている女の子を助けるのだって、私の立派な役目よ。
私は人差し指を大きく天井に突き立て、勢いよく立ち上がった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。