第8話

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2021/11/05 09:00 更新
奏音side

楓ちゃんが突如、吹奏楽部への入部をやめた次の日、私は明楽先輩から頼まれて、彼女を探しに行った。
可愛 奏音
可愛 奏音
ここにいたんだね、楓ちゃん
歌楽川 楓
歌楽川 楓
可愛・・・・・・さん
楓ちゃんは屋上へ続く扉の目の前、階段に腰掛けていた。


彼女の隣にはどれも手作りみたいで、とても美味しそうなお弁当が置かれている。
可愛 奏音
可愛 奏音
奏音、でいいよ
お隣座っても良いかな?
歌楽川 楓
歌楽川 楓
は、はい
彼女から了承を得たので、私は弁当が置かれていない方の隣に座らせてもらった。


少しずつ心を開かせてから、一気に理由を聞き出す、なんて誰かさんがやった面倒くさい事は、私の性格上似合わない。


ここはズバリ、と聞く。
可愛 奏音
可愛 奏音
ねぇなんで昨日、逃げちゃったの?
私には七楽の顔見て行っちゃった気がするんだけど・・・・・・
アイツに何かされた事があるの?
私がなるべく優しそうな声を出して楓ちゃんに問いかけると、彼女は右手に持っていた箸をギュッと握った。


そして、そのまま首を横に振る。
歌楽川 楓
歌楽川 楓
いいえ、御影くんが何かした訳では無いんです
私・・・・・・男性恐怖症なんです
可愛 奏音
可愛 奏音
男性恐怖症・・・・・・
男が苦手、って事?
私がさらに質問で返すと、楓ちゃんは深く頷いた。
歌楽川 楓
歌楽川 楓
昨日途中で逃げてしまって聞いてなかったと思うのですが、私小さい頃から『ホルン』を吹いているんです
結構自分でも上手、って自信持ってて
でもあの子にだけは・・・・・・勝てなかった
可愛 奏音
可愛 奏音
あの子?
歌楽川 楓
歌楽川 楓
はい、明るい茶髪の男の子・・・・・・
私、あの子にだけはソロコンテストでも一回も勝てた事が無くて
同じ教室に通ってたから、悔しくて悔しくて
でもどんなに頑張っても、彼には勝てなかった
そしたら何故か・・・・・・男性自体が怖くなってしまったんです
可愛 奏音
可愛 奏音
ふーん・・・・・・
歌楽川 楓
歌楽川 楓
おかしな理由ですよね、本当に昨日の事は御影くんにも悪いと思ってて・・・・・・
これが無かったら、喜んで吹奏楽部に入部したいのですけど
楓ちゃんが眉を下げる。


その瞬間、私のお節介が発動してしまった。


仕方ないでしょう?


こうやって悲しそうな顔をしている女の子を助けるのだって、私の立派な役目よ。
可愛 奏音
可愛 奏音
理由はわかった
なら・・・・・・『楓、男性恐怖症克服作戦』開始するよ!!
歌楽川 楓
歌楽川 楓
えっ、え・・・・・・ええええっ?!
私は人差し指を大きく天井に突き立て、勢いよく立ち上がった。

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