家に帰ってようやく我に返った。
今日は本当に色々なことがあった。
サヒに寄り道に誘われて、サヒが名前で呼んでくれて…サヒが笑って
…………
って、全部サヒじゃん!!
自分の脳みそがアサヒでいっぱいなこと、本当にアサヒに恋してしまったこと。
(うわああぁあ……)
なんだか急激に恥ずかしくなってその場にしゃがみ込んでしまった
母が心配そうにこっちを見ている…居心地が悪い。
そのまま部屋に戻るとすぐさまベッドに寝転がった
目を瞑ると、今日のことが嫌になる程に蘇ってくる
ソフトクリーム食べるの遅かったな、口小さい…ジェヒョクでもいいのにジェヒョガは聞いてない、可愛すぎる
誘い方も可愛い。なにあれ、まじで…てか俺がニヤニヤしてたから笑ったの?そんなにやけてたか…
ふにゃってこぼすような笑み……なにがロボットだ、そんなの天使じゃないか
〝好き“を自覚した途端、気持ちがぶわっと溢れ出した。自分の意思に反するかのようにサヒのことだけ考えてしまう。1人で照れて顔が熱くなるなんてバカみたいだ。
俺は今日のことを絶対に忘れない。忘れられない。そう心に誓った。
…ちょっと時間が経ちすぎたかな。今日はもう寝よう。
「サヒ、おはよ」
「…あっおはよう、ジェヒョガ」
ドキッ。まさか朝イチ早速名前呼びがくるとは思っていなくて、露骨に驚いてしまった。
「ジェヒョガ、あのさ」
「ん?なーに」
「今日、ねむい」
「……えっ、か」
可愛い、と言いそうになり咄嗟に口を塞ぐ。いやなにそれ眠いって可愛すぎるだろ
今までは俺から話すことが多かったけど、まさかただただ眠い報告までしてくれるとは。
「俺も。昨日のサヒにせいで眠れなくなっちゃった♪」
イタズラ心もありながら冗談めかして言った。少しやり返すつもりで。
サヒは少し目を見開いたあと、聞こえるか聞こえないかくらいの声で「…そっか」といいバッと顔を逸らしてしまった。
んー…不機嫌になっちゃったかな…?やってしまった
少し後悔していると、授業が始まった。
ー休み時間ー
「ん“ん~、やっと終わった…」
サヒは俺に心を許し始めているのか、そんな声を出した。少し周りから視線を感じる
「そーだねえ〜うん、サヒ。ちょっとついてきて」
サヒは焦り気味の俺を不思議そうにしながらついてきた
人気のないところに来た
「…サヒ、さっきのは自覚ない感じ?」
「え、なにが」
キョトンとした顔で言われる。
はぁ…とため息をついた
「…その…伸びの…、あのー…こ、声…」
どう伝えれば良いか分からず、言葉がまとまらない
「なに?なんかしたっけ」
「あーー!えっと大したことじゃないけど、あんま2人きりの時以外に伸びとかしないで!」
……あれ、なんかこれ言い方…
ピーンポーンパーンポーン…
ちょうど良くチャイムが鳴ったので、戻ろ、と声をかけて教室に戻った。
その授業はあまり集中出来なかった。
放課後になり、いつも通りサヒと帰ろうとしていたその時だった。
「アサヒ〜」
俺じゃない誰かがサヒを呼んだ。
今行く、と返事をしたサヒ。正直動揺して訳がわからないのでとりあえずついていくことにした。
「アサヒ、今日おばさんが…ってあれ、この子は?」
「ああ、こいつはジェヒョクだよ。ジェヒョガ、この人はヨシく…」
「金本芳典で〜す!君が噂の…ふ〜ん。ジェヒョクくん、よろしく。」
「そう、近所のおじさん」
「おじさっ、おま、一歳しか歳変わんねえだろ!」
はは、と愛想笑いするしか出来なかった。俺、邪魔じゃん
冷静な判断ができないほど取り乱していて、今すぐに逃げたかった。
「っサヒ、ヨシノリさんと用事あるんでしょ、俺先帰るから」
もうこれ以上、こんな仲よさそうな2人見れない。
「っは、まってジェヒョガッ…」
「いいから!また明日帰ればいいじゃん、な」
……最低だ、俺
断ったとき一瞬、サヒの顔が悲しそうに見えた。
あんま表情変わらないから気のせいってことにしたいけど本当だったら……
その日は前日とは違う意味であまり眠りにつけなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。