第7話

血に逆らえない自分が憎い
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2026/03/12 09:26 更新
数日間眠っていた女性は、目を覚ました。


???
ありがと、助けてくれて。
跳ねた銀髪に、優しい光を放っている紅い瞳。


彼女が微笑むと、なぜか母さんを思い出してしまう。
坂田銀華
私は、坂田銀華。
16歳だよ。
銀華さんは、少し遠くの村でお兄さんと友達、知り合いの男性と5人で暮らしていたらしい。


なぜあの道で倒れていたのか何度も聞いたが、頑なに教えてくれなかった。


だが、銀華さんの頬には火傷のあとがある。


火事か何かにあったのだろうか。
坂田銀華
神静。ほら、山菜採りに行くよ。
神静
はーい。
昼食の支度のために、銀華さんと山菜を採りに行くことになった。

坂田銀華
なんでさぁ神静は、いつも傘さしてんの?
神静
……えっ
坂田銀華
晴れた日も雨の日…は当たり前か。
ずっーとさしてるじゃん。
坂田銀華
なんか理由があるのかなーって
神静
か…母さんから言われてるんだ。
神静
傘は絶対にさしなさいって。
坂田銀華
ふーん。そっか…
急に悲しいような寂しいような顔に銀華さんがなってしまい、なにかいけない事でも言ったのかと考えてしまった。
坂田銀華
私さ、銀時以外に家族いないんだ。
血の繋がった家族が。
神静
そうなんですか…?
坂田銀華
物心がついたときには、ずっと銀時の背中を追ってた。
坂田銀華
そんで、先生に救われて…
坂田銀華
色んなことを知ったんだ。
坂田銀華
だけど…また全部失っちゃった…
銀華さんが立ち止まり、空を見上げる。


周りの木々は紅く色づき、美しい。


ポタポタと銀華さんの頬から涙がこぼれ落ちる。
坂田銀華
…もう…やだな…
神静
…銀華さん!約束しましょ!
坂田銀華
グスッ…何を?
神静
お互いをひとりぼっちにしないこと。
坂田銀華
なに…?それ。
銀華さんは、目を丸くしたあと、優しく微笑んだ。
坂田銀華
フフッ…やっぱり変な子…
坂田銀華
当たり前でしょ。
坂田銀華
もうひとりぼっちは懲り懲りだよ。
神静
フフッ…良かったヨ!
元気、出してくれて!

私はその後に自分に悲劇が起こるとは、思いもよらなかった。


それからも、何度も何度も耳にする。


傘をさした男たちの話。


天人説、幕府の偉い人説とか、色々な噂が飛び交う。


だが、私は知っている。


奴らは、私と同じ夜兎だと。

今日も、道場へと足を運んでいた。


夜兎たちの噂は無くなり、安心していたころだった。
神静
あのさ…誰かいるよネ?
神静
私の後ろにずっと。
私の一言で、夜兎の男たちが立ち並んだ。


目つきは鋭く、視線が四方八方から飛んでくる。

春雨の団員 1
貴様、神威の妹、神静で間違いないな?
神静
だったら、何?
神威はどこだ。
春雨の団員 2
そうか。
だが、可哀想になぁ…
春雨の団員 2
もう、兄貴には会えないぜ。
神静
なぜだ。
家族なら、会えるはずだ。
神静
神威の名を知っているということは、近くにいるんだろ?
神静
どこだ。神威は ー
鳳仙
ごちゃごちゃごちゃごちゃ、うるさい奴だな。
春雨の団員 2
団長!すみません。
鳳仙
会えぬと言ったら、会えぬのだ。
鳳仙
いい加減に黙らんか。
鳳仙
星海坊主の娘よ。
鳳仙
いいや、違うな。
アルタナの変異体の娘が。
神静
母さんのことを…悪く言うなヨ…!
傘を構えて、飛びかかる。
鳳仙
構えはいい。
だが、遅い。

拳一つで、地面へと叩きつけられる。
神静
ゲホッ…ゲホッ…
春雨のモブ 3
鳳仙様直々の攻撃だ。
春雨の団員 2
きっと、もう死んでいるだろうな。
神静
死んでなんか…ない…
そのまま、得意な居合いで、団員たちを斬る。

神静
あのハゲに一発喰らわせるまでは…死ぬわけにはいかないんだよ…!


傘で足元を乱射すると、砂埃が舞う。


春雨の団員 1
なんだ!?何にも見えねぇ…!
鳳仙
ほう…貴様は頭脳戦か…
鳳仙
だが、夜兎には頭脳戦など…
馬鹿げた戦い方だ。



巨大な傘が目の前に現れた。そのまま私の腹部を押すと同時に、私の攻撃もまた、鳳仙へと当たった。







鈍い音が響き、互いに顔を歪ませる。








だが、重力には逆らえず、私はそのまま地面へと叩きつけられた。
神静
(内臓がやられた…)
鳳仙
やはり貴様は、惜しい者だ。
こちら春雨に来れば、もっと強くなれるというのに。侍にこだわるとは。
鳳仙
家族と会えぬまま、あの世へと逝け。
痛い。














雨足は強くなるばかり。











ドクドクと遅くなっていく心音。死の警告。








神楽。置いてってごめん。







神威。あの時、聞いてあげれば良かった。






母さん。地球っていいところなんだよ。







父さん。みんなをよろしくね。
















遠のいていく意識の中で、誰かの声が聞こえる。










懐かしい声だ。


???
…静。神静!








神静
母さん…?
坂田銀華
神静!
天の声(作者)
またR18になりそう…
天の声(作者)
なんでだろう…

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