数日間眠っていた女性は、目を覚ました。
跳ねた銀髪に、優しい光を放っている紅い瞳。
彼女が微笑むと、なぜか母さんを思い出してしまう。
銀華さんは、少し遠くの村でお兄さんと友達、知り合いの男性と5人で暮らしていたらしい。
なぜあの道で倒れていたのか何度も聞いたが、頑なに教えてくれなかった。
だが、銀華さんの頬には火傷のあとがある。
火事か何かにあったのだろうか。
昼食の支度のために、銀華さんと山菜を採りに行くことになった。
急に悲しいような寂しいような顔に銀華さんがなってしまい、なにかいけない事でも言ったのかと考えてしまった。
銀華さんが立ち止まり、空を見上げる。
周りの木々は紅く色づき、美しい。
ポタポタと銀華さんの頬から涙がこぼれ落ちる。
銀華さんは、目を丸くしたあと、優しく微笑んだ。
私はその後に自分に悲劇が起こるとは、思いもよらなかった。
それからも、何度も何度も耳にする。
傘をさした男たちの話。
天人説、幕府の偉い人説とか、色々な噂が飛び交う。
だが、私は知っている。
奴らは、私と同じ夜兎だと。
今日も、道場へと足を運んでいた。
夜兎たちの噂は無くなり、安心していたころだった。
私の一言で、夜兎の男たちが立ち並んだ。
目つきは鋭く、視線が四方八方から飛んでくる。
傘を構えて、飛びかかる。
拳一つで、地面へと叩きつけられる。
そのまま、得意な居合いで、団員たちを斬る。
傘で足元を乱射すると、砂埃が舞う。
巨大な傘が目の前に現れた。そのまま私の腹部を押すと同時に、私の攻撃もまた、鳳仙へと当たった。
鈍い音が響き、互いに顔を歪ませる。
だが、重力には逆らえず、私はそのまま地面へと叩きつけられた。
痛い。
雨足は強くなるばかり。
ドクドクと遅くなっていく心音。死の警告。
神楽。置いてってごめん。
神威。あの時、聞いてあげれば良かった。
母さん。地球っていいところなんだよ。
父さん。みんなをよろしくね。
遠のいていく意識の中で、誰かの声が聞こえる。
懐かしい声だ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。