しんと静まり返った暗闇。
僕は後ろを唖然としたまま見ていた。
2匹の分身たちが青鬼達に抵抗するあの光景。
疑問詞ばかりの言葉が頭の中をグルグル回りながら、僕はひょろひょろと立ち上がる。
…とにかく今は先に進まなければ。
とにかく、周りは真っ暗だった。
自分の体がどこにいるのかをきちんと認識できないほど、全てを飲み込みそうな闇。
前に歩くしか選択肢が無いようなので、足を前に進ませる。
足を動かす。
足を動かす。
自分の体がどこに向かっているのかが分からない。
時間が動いているのもよく分からない。
だが、とにかく感覚で進むしか手段はない。
すると体感数分間で、遠くに微かな、本当に小さくて薄い光が見えてきた。
希望の光が見えてきたのなら後は早い。
だんだんとほんのり明るくなってきた。
足を進める速度を早めていく。
後ろから足音は聞こえてこないが、万が一ということがある。
早足で行くことにデメリットはない。だからなるべく急ぐことにした。
その後、自分の足にコツンとある物が当たったような音がした。
さっきまで何も当たらずにスムーズに足を進めてきたため、足の感触とともに体が少しビクつく。
気になって足元を覗くと、
成人した人間の左足の骨がそこに崩れていた。
少々驚きながらも足を進めていくと、今まで人骨に足が当たらなかったのが嘘のように、
足を踏み出す隙間がないほど、人骨が散らばっていることに気づいた。
何人だろうか。人骨たちはどれも数十年経ったような脆さで、少し蹴るとすぐにヒビが出る。
そして皆片手か両手で、クワや鎌、スコップを握っていた。
なにかの集団だろうか、腕に赤い布を巻き付けてもいる。
僕は目を凝らしてそれらを見た後呟いた。
僕は走り出した。蹴って割れる人骨たちも気にせずに。
走れば走るほど奥にある光が、強く輝いて、こっちに近づいてきている。
まるで「ここにいるよ」「こっちにきてよ」と発しているように。
だから走った。
すぐに向かわなきゃいけない気持ちになったんだ。
走る。
走る。
走る。
そしてとうとう光が間近に迫ってきたとき、
僕の目の前には
鍵穴がビッシリ敷き詰められているドアが待っていた。
「あけないで」って、言っているのかな。
僕は片手で扉を強く押して開けた。
扉の奥に足を進める。
中は閑散としていた。
奥にクローゼット一個。
僕は一つ深呼吸してから、そのクローゼットの扉を開けた。
中は?
小学生くらいの年齢の男の子が、体育館座りのような姿勢でしまわれている。
着ている服と皮膚から、生活と家庭環境の良さはあまり感じられない。
「彼」はまるで寝ているように安らかな顔。
…皮膚の所々が少々青くなっていっていることを除けば。
僕は息を大きく吐いた。
君はここにいたんだね。ごめんね、遅くなって。
いつの間にか青鬼も到着していた様子。
いや、もうその呼び方で呼ぶべきではない。
どんどん背後にいる声は禍々しい声から、聞き覚えのある声へ変化していく。
僕は後ろを振り向いて、名前を呼んだ。
らっだぁは思いも寄らない状況に言葉を失っているようだ。
姿は慣れた姿だが、中身はまだってところだろうか。
でも僕は容赦しないからな。
らっだぁの意識はまだこちらを向いていない。
ふざけるな、僕の方を見ろ。
僕は今、
とても怒っているんだ。
目の前にいる奴はビクッと体を震わせた後、僕に目を合わせて言葉を話し始めた。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。