第20話

第十七話 黄土色の瞳の人間視点
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2024/04/07 12:50
当時、俺は小学校高学年だった。

……何がきっかけだったっけ……

ああそうだ、

学校で友達が親から「ある噂」を聞いたんだって言ってたんだ。
この町に、親が赤ちゃんの頃から囁かれている噂。

この小学校の近くにある「林道高校」の裏山には、体育館よりも大きい洋館がある。

それはただの洋館ではなく、「青鬼の館」と言って、「青鬼」という化け物が潜んでいる………

その洋館に入ったら最後、大人の顔よりも大きい口で食べられてしまう。
友達はクラスの皆に得意気に話してて、皆も好奇心をくすぐられる話だったのか釘付けになってた。

俺もその一人。

それでさ、友達10人ぐらいと行くことになった。

その時の裏山はまだ綺麗だったんだけど、周りの住宅街と違う異質感がより際立ってて、奥に行くまである種の肝試しになってた。


それで森の奥に着いた時、

俺は噂通り、小学校の体育館より大きい洋館を目の当たりにしたんだ。

けど、

友達は周りを見渡すだけで、洋館を真っ直ぐ見る奴がいなかった。

それならともかく、帰り始める奴らまで出始めた。
小学生の時のぺいんと
………なんで帰んの?
俺がそう言ったら、皆口々に言った。

「洋館なんて見当たらないから」

一瞬のうちに頭が真っ白になった。

俺のことをビビらせようとなんてしてないって、顔で分かる。だからこそおかしいって思った。


翌日、例の噂を話していた友達を問いただしても、自分しか知らないであろう噂話を話したかっただけの一点張り。

それ以上何も知らないらしく、ただ親から聞いた話をそのまま話しただけだったみたい。

それ以降、皆一気に好奇心が冷めたみたいで、二度とその話が出てくることはなかった。

俺もそれで終わるんだと思ってたんだ。











夢にあの子が出てくるまで。

…同い年ぐらいの男の子だったかな

ちっちゃくて凄く痩せてて…

その子は

「あの子を救って」

って俺に言ったんだ。

最初はただの夢だと思ったんだけど、毎日毎日見るから気になって裏山に行ってみたら…

館の扉が開いてた。

中に入ってみたらさ、宙に浮いてる緑色の子に案内されて……
カタコトの幽霊?
マッテタヨ、ヨロシクネ
「青鬼ごっこ」に参加する羽目になって……
赤マフラーと青ニット帽
珍しい服装してるね、俺らっだぁ
赤マフラーと青ニット帽
よろしく
たっくさん仲良くなって……


それで………



………それで
赤マフラーと青ニット帽
おまえどこからきた
小学生の時のぺいんと
えっ……あ…

赤マフラーと青ニット帽
ニンゲンダナ?
そこからはあまり覚えてない

なんでバレたのか、どこで間違えたのか



ただ

怖かった


あの館から追放された日から、俺は裏山の奥に行くのを辞めた。

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