午前8時 。いつも乗るバスが 、段々と向こうから
近づいてくる。私はカバンから鏡を取り出して 、
軽く髪を整える 。……よし 、前髪整ってる!
カバンの前ポケットに閉まった定期券を持って 、
目の前に停まったバスに乗り込んだ 。
習慣づいたように後部座席の方を見てみると 、
………あ 、今日は居る 。ラッキー…… ♪
後ろから3列目 。窓側の席 。
栗色の柔らかそうな髪が朝日を浴びて 、きらりと
光った 。…叶先輩 、同じ学校の先輩だ 。
眉目秀麗!容姿端麗!まるで少女マンガの中から
そのまま出てきたようなビジュの良さに加えて 、
穏やかで優しいその雰囲気!まさに王子様!
叶先輩は初めてできた私の《 推し 》なのだった 。
叶先輩とは反対側の列に座って 、ちらっと叶先輩の
いるほうを確認する 。はぁ 、今日も美しい…!
叶先輩を初めてバスで見かけた時はあまりの
美しさに何度もチラチラ見てしまった 。
で 、たどり着いたのがこの席 。ひっそりと
叶先輩のご尊顔を盗み見るのに丁度いいこの距離感!
バスに揺られる数十分 、私は推しの居る空気を
存分に堪能するのだった 。
教室に着くと 、私の前の席には既にすーちゃんが
座っていた 。すーちゃんは私の叶先輩レポートを
あはは!と明るく笑いながら飽きずに聞いてくれる 。
すーちゃんと話していると 、チャイムが鳴って
しまった 。そういえば今日は全校集会って
言ってたっけ? …叶先輩とエンカウントチャンス!
校長先生のお話ってなんでこんなに眠くなるんだろ 。
欠伸をしながら 、先生の話なんて右から左に
受け流して 、周りをきょろきょろ 。
叶先輩 、叶先輩……… あ 、発見!
しかし 、あのフェイスライン 。完璧すぎる 。
整ったEライン 。さすが叶先輩 、遠くから視認しても
あれが叶先輩だと分かる 。
何を食べたらあんな顔になるんだろう 、
…あ 、髪の毛いじってる 。…は〜 、髪の毛
結ぶんですか先輩!似合いすぎますね!?
すーちゃんは呆れたように笑いながら手を差し伸べて
くれて 、私は慌てて立ち上がり体育館を後にした 。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。