彼は少し視線を落とした
う「…おれ、レイプされた。」
ギリギリ聞こえるくらいの小さな彼の声
一瞬、何を言われたのか分からなかった
さ「……れ、いぷって…え…いつ…?」
う「ちょうど1週間前くらい…」
確かに思い出すと彼に触れようとすると避けられるようになったのはそれくらいからだった
最初はさほど気にならなかったけど全く触れられないとなると少しづつ違和感が現れた
さ「なんですぐ言ってくれなかったん…?」
う「言えるわけ、ねぇだろ…」
さ「なんd」
う「だって!!!」
彼の大声で自分の言葉を遮られる
う「だって…名前も知らねぇやつに犯されて…おれ、初めてだったのに…言えねぇよ…さかたが、初めてはさかたがよかった…でも汚くなったおれに、触らせられない…さかたも、汚れる…おねがい、触っちゃだめだ…さかたのこと汚したくない…」
途切れ途切れ話し、少しずつ声が小さくなっていく
言い終わると止まっていた涙はまたポロポロと彼の頬をつたっていた
彼は膝の上で両手をにぎりしめその涙を拭うこともせずただ流すだけだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。