何日も、連絡がなかった。
LINEは未読のまま。
電話をかけても、「電源が入っていません」という冷たい声だけ。
スタジオの控室で、スマホを握ったままつぶやく。
いつもならすぐに返ってくるスタンプも、もう届かない。
その日、撮影を早めに切り上げた。
気づいたら、あなたの下の名前の家の前に立っていた。
門の向こう、淡いオレンジの明かりがぼんやり灯っている。
インターホンに手を伸ばそうとして――
玄関の扉が静かに開いた。
お母さんは、少しだけ悲しそうに微笑んだ。
その言葉に、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
差し出されたのは、小さな白い封筒。
宛名には、丁寧な文字で――
『阿部亮平へ』
俺の手が震えた。
その場で開けることはできなかった。
ただ封筒を胸に抱いて、空を見上げた。
夜空の星が、やけに近く感じた。
だけど届きそうで、届かない。
風が頬を撫でて、涙が滲んだ。
その手紙の中に何が書かれているのか――
怖くて、まだ開けられなかった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。