第18話

#18. 手紙
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2025/11/13 10:00 更新
何日も、連絡がなかった。
LINEは未読のまま。
電話をかけても、「電源が入っていません」という冷たい声だけ。
亮平
……会いたいのに。
スタジオの控室で、スマホを握ったままつぶやく。
いつもならすぐに返ってくるスタンプも、もう届かない。
その日、撮影を早めに切り上げた。
気づいたら、あなたの下の名前の家の前に立っていた。
門の向こう、淡いオレンジの明かりがぼんやり灯っている。
インターホンに手を伸ばそうとして――
玄関の扉が静かに開いた。
……阿部くん?
亮平
すみません、突然。あなたの下の名前に、会えますか?
お母さんは、少しだけ悲しそうに微笑んだ。
今日は……もう、眠ってるの。
その言葉に、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
これ、預かってもらえる?
差し出されたのは、小さな白い封筒。
宛名には、丁寧な文字で――
『阿部亮平へ』
俺の手が震えた。
亮平
……これ、あなたの下の名前が?
ええ。最近ずっと、書いてたの。
 “ちゃんと伝えたいことがある”って。
その場で開けることはできなかった。
ただ封筒を胸に抱いて、空を見上げた。
夜空の星が、やけに近く感じた。
だけど届きそうで、届かない。
亮平
お前、ずるいよ……。
 こんな手紙なんて、置いていくなよ。
風が頬を撫でて、涙が滲んだ。
その手紙の中に何が書かれているのか――
怖くて、まだ開けられなかった。

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