ズートピアは平等な街だと言われている。
草食も肉食も、小さくても大きくても、
誰もが同じように生きられる一ー建前では。
けれど、本当のところはどうだろう。
警察署の高い天井を見上げながら、
新人警察官あなたの下の名前(カタカナ) は小さく息を吐いた。
この街で生きるには、強さがいる。
それは爪や牙じゃなくて、折れない心とか、
信じ続ける覚悟とか ...
背後から聞こえた声に
少しだけ肩が跳ねる。
振り返ると、そこには赤褐色の毛並みをした
キツネがいた。
ニック・ワイルド
元詐欺師。
ジュディ・ポップスととある任務を達成し
今はズートピア警察の一員。
軽い口調、余裕の笑み
詐欺師だった頃と変わらないようで
何処か違う。
彼は私の隣に座ってきた。
近い、近すぎる。
少しだけ、ほんの少しだけ
心臓が跳ねる。
ーーそれが、始まりだった。
元詐欺師の愛が、こんなにも重いなんて。
この時は、まだ知らなかった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!