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第1話

山田浅ェ衛門 一
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2023/11/25 03:20
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時は2×××年。

年明けとともに威勢のいい泣き声をあげながら、一人の赤子が生まれた。

赤子の容姿は、それはそれは見た者全ての人が、言葉を失うほどに神秘的であった。頭のてっぺんから足の爪の先まで、全てが透き通るほど真っ白である。
赤子
ンギャァァ ンギャァァ
この子は、きっと神様の生まれ変わりに違いありませんわ
嗚呼、きっとそうだろう(ニコッ
赤子は『あなた』と名付けられ、大層可愛がられた。
あなたの母は気の強い、しっかり者で
父は気が弱く、優しいひとであった。
この夫婦は、やっとの思いで天からさずかったあなたを、それはそれは愛していた。




愛という名のゆりかごに入れて。

彼女たちは、赤の他人から見てもたいそう幸せな、いわば『理想の家族』だった。

















だが、それも長くは続かなかった。




この家は、古くから代々続く政府容認の“御様御用おためしごよう”又の名を“打首執行人”である、
『山田浅ェ門』の家系だからだ。



本来山田浅ェ門の跡を継ぐのは男児である為、女児であるあなたわたしは好まれなかった。





あなた 4歳
幼い頃のあなた
ははうえさまー
ん?どうしました、あなた  (ニコッ
幼い頃のあなた
さきほどおばうえさまにあったのですが、
幼い頃のあなた
そのときに
叔母
チッ   ただでさえ跡取りにはなれん女だというのに肺病持ちとは、とんだ金取り虫な餓鬼だね
幼い頃のあなた
といっていたのですが、どういみでしょうか?
ッッ!!
ごめんなさいあなた
強い子に産んであげられなくて、ほんとにごめんなさい


母はそうやって、いつも“わたし”を抱きしめて謝っていた。



それからというもの、屋敷での生活はどんどん酷くなっていった。




そして、
啓佑
オギャーオギャー
あなた、お前の弟だぞ



齢十二の時、弟の啓佑けいゆうが生まれた





そして本当の地獄はここからだった。
𝑁𝑒𝑥𝑡

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