思わず呟きと白く染まった息が出る。
お礼を言って、手の中に包み込む。
すると、じんわりと暖かさが伝わってきた。
びゅうっと、強い風が吹き、
晒された顔や素肌に冷たさが突き刺さる。
思わず、隣の剣持の方に寄ってしまう。
見たら、剣持も寒そうに
体を縮こまらせている。
剣持の腕を引いて、早足で歩き出す。
幸いなことに、
美羽のバイト先は学校の近く。
歩き出してすぐ着いた。
剣持が扉を開けてくれた。
お礼を言って、中に入ると暖かさが伝わってくる。
店内は男女でいっぱいだった。
幸せ、というオーラが直に伝わる。
美羽がいた。
バイト先だから当たり前だけれど、
働いている親友は見るのは初めてで、
少し新鮮。
メニューを置いて、行ってしまった。
席は、剣持と向かいあわせ。
ブレザーを脱いで、席にかけておく。
店内がカップルだらけだからか、
向かいに座る剣持と目が合わせられない。
何故か緊張して、
意味もなくメニューをめくってしまう。
ぎごちない会話に、
思わずクスリと笑い声が溢れる。
剣持は少し恥ずかしそうにしつつ、
俯いていた。
会話が盛り上がってしまい、
気が付けば2時間も店内にいた。
あんなにいたカップルも、もう居なくなっている。
__
財布を出そうとしたけれど、
結局使わず仕舞ってしまった。
せめて邪魔にならないようにと、店外へ行き、
とあるものを買いに別の場所へ入る。
チラッと剣持の方を見てみると
美羽と楽しそうに、というか
美羽が楽しそうに剣持と話していた。
2人の方を見ると、何故か胸がモヤッとした。
その分からない感情を
無理矢理振り払い、目的のものを買って外に出る。
店から出てきた剣持と合流する。
2人で少し歩き、駅の近くへ向かう。
イルミネーションが見えてくるのと比例して、
カップルも増えていた。
その手にはプレゼントの包み紙を持って。
もっと近くで見ようと、
クリスマスツリーの近くに寄ってみる。
辺り一面を照らす光に、思わず見とれてしまう。
隠し持った袋ががさりと音を立てる。
その音を聞いて思い出し、
鞄から包み紙を出し、
手に持っていた物と共に渡す。
中身は___
肉まんの方は先程買ったもので、
マカロンは昨日作っておいたもの。
剣持が差し出してきたのは、少し大きめの紙袋。
開けるように促されたので、
礼を言って、
包装を壊さないように慎重に開ける。
中に入っていたのは、
白い、モコモコのマフラー。
早速巻いてみると、
イルミネーションに負けない輝きを放っている。
気恥ずかしさからか、
ぶっきらぼうな口調になってしまった。
しかし、別れる際。
自分でも驚くくらいの大きな声が出てしまう。
剣持と手を振り、別れる。
歩き出しても、右側には
剣持の感覚が残っている気がした。
𝙼𝚎𝚛𝚛𝚢 𝙲𝚑𝚛𝚒𝚜𝚝𝚖𝚊𝚜.
マカロン:特別な人
マフラー:貴方に首ったけ












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。