部活動体験が終わって家に帰り、俺は自分の部屋に戻っていた。
スケッチブックを開く。
もふくんの前では知らないふりしてたけど、俺はずっと前から榛原陽芦に気があった。
俺は面食い……というか、人の臓器、体が好きだ。
目とか、髪とか、耳とか、そういうのを見たり、“描いたり”することが好きだ。
これは誰にも言えない俺の秘密。
見た目が好みの人間の絵を描くことが、俺の唯一の趣味だった。
筆を進めていく。
榛原陽芦は一年生の時から有名だった。
女子からの人気は凄かったし、“王子様”と持て囃されていた。
俺もそんな彼に興味があって、
実際すぐに彼の容姿に惹きつけられた。
それから、スケッチブックはひろくんで埋まっていった。
彼の瞳、髪、耳、首、色々なものを書き連ねた。
こんなものが誰かに見られたら俺の人生はバッドエンドを迎えてしまう。
俺にとっての宝物は、他の人からしたらただの嫌悪の対象でしかないのだから。
ここは!?
詩波兄の言葉で思い出す。
そうだ、俺はさっきまで部活動体験を受けてたんだ。
それでたまたま詩波兄の大学の帰りと一緒になったから車に乗せてもらってて、途中で寝ちゃったんだった。
詩波兄は大学一年の兄であり、年が離れているからよく面倒を見てもらっている。
なんか夢を見てた気がするけど、あんまりよく思い出せない。
……まぁ、無理に思い出す必要もないか。
詩波兄と一緒に家に戻る。
適当に荷物を置き、ソファーに身を預けた。
詩波兄はいつもそうだ。
いつもおっとりのほほ〜んとしていて、俺の意見を否定せず聞いてくれる。
でも自分は極度のめんどくさがりで、俺が言わないと全然動こうとしない。
はぁ、本当はそんなこと思ってないでしょ。
俺が気にいるような人に、詩波兄は絶対に会いたくないはずだ。
だって、詩波兄は俺の趣味を知っているから。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。