今から約一年半前
新しい教室新しいクラスメイト
うっすらと花の香りが残る校舎の廊下を歩きながら
自分の席についた
目の前に座ったのはLANだった
窓から差し込む陽の光が、彼の髪の上で静かに揺れていた
その表情に感情というものがまるで存在しないような冷たさがあった
わからない無口で、どこか近寄り難い雰囲気
そんな同じ美術部になった
最初に言葉を交わしたのは部活の時
美術室に残る絵の具の匂い、湿った静かさが残る中で
俺はLANに声をかけた
笑って見せない
興味がないのだと言っているようだった
それから、俺ただは特に話すことも無くただ同じ空間にいるだけの時間が続いた
もともと美術部さ人数が少なくLANと俺だけが美術室にいる時間が多かったように思う
しかし、あるときから俺たちの関係が変わった
それは、俺がコンテストに作品を提出するために美術室に残っていたこと
そこにはいつものようにLANがいて黙々と絵を描き様続けていた
LANはイーゼルの前にじっと座り、筆を走らせていた
カッカッカッ
集中できず一度外の空気を入れ替えようと立ち上がった
スタスタスタッ
彼の背後を通った時目が奪われた
まるでその絵の中に心臓を引き摺り込まれるような
感覚だった
ただただ、尊敬した
それは、思わず声に出してしまうほどだった
本人はこの絵に満足してないのか
それともただ感情を露わにしてないだけなのか
その絵は確かに人を惹きつける力があった
視線を引き寄せて離さない
絵から滲む何かが、静かに心に触れてくる
絵を見ると確かに暗い色ばかり
でも……暗い色の向こうに自分の内側から絞り出されたような思いの強い表現がある
そう言って思い詰めたような悲しい横顔を見せたLAN
驚くことを言った
なにを言っているのかわをからない
こいつと一緒に絵を描くなんて
まぁ自分の作品も終わっていない
コイツと一緒にコンクールなら出るなら個人のコンクールは辞退しなければならない
それでも……
俺は気づけばそんな事を言っていた
そのときは本当に衝撃的だった












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。