それから俺たちは毎日美術室に残り一緒に絵を描くようになった
口数は多くないが、絵を描いている間は少しLANのことが分かったような気がした
意外にも優しく笑う所
決めたらまっすぐと見つめる所
絵の色を決める時、凄く切ない顔をする所
だから、俺は色を決める時はLANが暗くならないように声をかけた
切ない顔をする理由はわからなかったが、俺は思うがままLANの絵の上から明るい赤を重ねていった
LANは沈黙し、視線をキャンバスに落とした
さっきまだ笑っていた唇が緩やかなら閉ざされる
初めてだった
彼の方から自分のことを話そうとしてくれるのは
色を重ねながらLANの言葉にただ。耳をすませた
言葉は出なかったら
ただ、彼の話を逃さないように静かにその声を受け止めるしかできなかった
高2になる前のLANは知らない
それでも、今のLANはよりもっと明るい奴だったのかもしれない
事故の事を慰めやることは出来ない
それは、本人にしかわからない悲しみがあるから
きっと、俺の辛い言葉で元気にならるわけじゃ無いから
筆を持って沢山の明るい色を出していく
自由に筆を遊ばせて色をのせていく
彼が無意識に避けている派手な色を
暗い色の上から馴染むように筆をなぞると花が咲いたようだった
彼の目から滲んだ涙には気づかないフリをして
俺はもう一度オレンジを筆に取った
LANの絵を荒らすようにその色をそっと塗る
戸惑いの表情を浮かべていたLANは
何かをふっきたように
ゆっくりと黄色を筆に取った
それは、朝の光のような暖かい色だった
見ているだけで楽しい
人を惹きつけて、楽しませる












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。