不死川は別の任務が入った為一時退散し
部屋にはあなたの苗字だけになった
一人になったあなたの苗字は,先刻の会話を思い出す
胡蝶は研究室で一体何をしているのだろうか
何故化粧を華美にし始めたのだろうか
後者はただの気にしすぎかもしれないが
どうも胸の奥が騒めく
顎に手を当て考え込んでいると
部屋の外から声をかけられた
女性の声だ
目の前に現れた女性は雰囲気からして
完全に山本シナだ
だがどうにもあなたの苗字が知っている山本先生とは違う
先の戦いで頭を打ち
見当識障害にでもなってしまったのだろうか
あなたの苗字には山本先生が
ハツラツとした若い女性ではなく,
穏やかなお婆さんに見える
ボンッ と煙が舞い,反射で目を細める
目を開くと,いつも見ていた山本先生がいた
あなたの苗字が驚いている隙にまた煙が舞い,
先程のお婆さんの姿に戻る
あまりの凄さに言葉を無くした
最早誰かと入れ替わっているとでも
言われないと説明がつかない
山本先生が手を指した先には,三人の女の子
見た目からしてくノ一だろうか
濃い桜ような色をした装束が可愛らしい
山本先生を見ていたあなたの苗字は
くノ一教室の少女たちに視線を向ける
目線の先の少女たちは
ちょこんと並び,肩身を狭くして座っていた
口が少し開いたと思えば何も言わずに閉じ
モジモジと俯いて何も話さない
あなたの苗字はこういう場面は苦手だ
自分は無愛想で話すのが下手だと
分かっているからだ
苦手なことを自ら進んでするのは好まない
頭の中でぐるぐると考える
少女とは,一体どんな話題で
盛り上がるのだろうか
三人の顔をよく見てみると
華やかで可愛らしい唇が目立つ
そうだ
ちょうど良い













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。