少し遠くからそんな声が聞こえると、ソヨンはスーッと離れて布団に潜り込もうとする。
スマホのスピーカー部分をソヨンに近づける。
こっちも向こうも無言で。
しばらくして、向こうのジフンが口を開いた。
顔下半分を布団に埋めて、小さく頷くソヨン。
スピーカー機能をオフにして、耳にスマホをあてる。
向こうがなかなか切ってくれないので、私から通話終了ボタンを押した。
もう少し話したかったけど、まぁ明日もあるし。いいかな。
一連の流れを思い出す。
でもやっぱりあのキスのインパクトが強すぎて、言葉に詰まった。
私はさっきのソヨンみたいに布団の中に潜って頭から被った。
無理やり布団をめくって入ってきたソヨン。
しばらくして「さっき何があったの」って聞いてくるから、ソヨンにだけ小声で話したら、
分かってるよ!口に出すな!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!