”抱きしめられた”
嫌、正確に言うと
”抱きしめられそうになった”
思わず殴られると思い、身構えてしまった
”ごめんなさい”
そう言おうとした時
綺麗な顔を歪めて、今にも泣きそうな顔でそう言われた
思わず寒さで震えると
そう言って彼は、自分の着ていたコートを着せてくれた
”悪いです”
そう言って返そうと思ったけど
そう言って受け取って貰えなかった
でも、
久しぶりに人の温かさに触れられたような気がした
とても暖かかった
ピコン
突然スマホがなった
彼は何か言いたげだったけど
私はそれどころでは無かった
背後で何か言いかけた気がするけど、もう耳には入らなかった
「母」からメッセージが届いています
「いつまで外にいるつもり?
早く帰って来なさいよ」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!