私は思わずため息をついた。こうゆう系の仕事は本当にめんどくさい。
幻月のユーベル。
それが私の、何故か付いた2つ名である。意味はよく分からない。
そして私は、この月代の国に雇われて諜報員をやっている。最初は軍医として雇われかけたのだが、きさらぎによると私があまりにサイコパスすぎて解雇されてしまったらしい。詳しいことは覚えてないし、思い出したくもない。
軍医を解雇されたあと、上司に諜報員が向いていると言われて試しに諜報員をやってみたが、それがまぁ物凄い大成功だった。天職と言えるほどには。だからそのまま続けてみたのがだ…気づいたら天才ともてはやされ、幻月のユーベルで呼ばれるようになっていた。
まぁ私は仕事も2つ名も気に入ってないけどね…
メーアが呑めると言われれば断れない…
きさらぎがなにか言っていたが、気にしないことにした。
~月代の国 ルーメナー州 きさらぎ宅近くの裏路地~
その目は光がなく、殺気が滲み出て完全にサイコパスな目をしていた。もう完全にスイッチが入っている。
私はきさらぎから受け取った指令書の封を乱雑に破き、目を通す。
《司令》
・花代の国に潜入し、イーリスという女を暗殺せよ。
・花代の国の神降ろしの儀について調査せよ。
※この指令書は目を通し次第直ちに確実に消滅する方法で処分し、情報を絶対に口外しないこと。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!