ステージのライトが眩しかった。
歓声、音楽、仲間の声――そのすべてが、胸を震わせる。
けれど今、僕の心をいちばん満たしていたのは、
すぐ隣に立つ人の存在だった。
チャニヒョン。
いつもなら一歩前を歩いていたはずのその背中が、
今は、僕のすぐ横にある。
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アンコール曲が終わり、舞台袖へと引き上げる。
汗が喉を伝って滴る。
でも、不思議と疲れはなかった。
チャニヒョンが、ぽつりとつぶやいた。
僕も、自然と笑っていた。
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ツアー最終日の前夜、チャニヒョンとふたりで夜の空気を吸いに出た。
話すつもりはなかった。
ただ、何となく隣にいたかった。
でも、沈黙の中で彼が口にしたのは、予想外の言葉だった。
僕は立ち止まって、彼の方を見た。
彼の声は静かだったけど、
その静けさの奥には、確かに揺れるものがあった。
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しばらく、ふたりで空を見上げた。
都会の明かりにかき消されて、星は見えなかった。
でも、どこかにきっとある。信じていれば。
それは、僕たちの信頼とよく似ていた。
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ツアー最終日。
最後の曲が終わる直前、ほんのわずかに視線が交わる。
チャニヒョンが、わずかにうなずいた。
その一言に、すべてが詰まっていた。
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舞台の中心に立って、僕は歌った。
これまでの痛みも、衝突も、全部抱えたまま。
だけど、今なら言える。
あの時間があったからこそ、
僕たちは“ここ”までこれたんだと。
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拍手の音のなか、誰よりも強く抱きしめられた瞬間、
ようやく、僕の中のわだかまりが、完全にほどけていった。
それは、やっとたどり着いたひとつの答え。
言葉にしなくても、分かり合える。
でも、言葉にしたからこそ、ちゃんと“信じ合えた”。
それが、僕たちが築いた絆だった。
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エピローグ ― その先の未来へ
録音ブース越しに見える彼の背中は、今でも少し大きく見える。
でももう、怖くはない。
僕は、僕の声で向き合えるようになったから。
笑って、言い合える。
衝突も、沈黙も、遠回りも、
すべてが今の僕たちをつくった。
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“信じる”って、簡単じゃない。
でも、諦めなかったふたりだからこそ辿り着けた関係がある。
不器用な声たちでも、
本気でぶつかって、
本気で信じて、
そして、本気で“支え合う”ことができる。
その事実が、僕の誇りだ。
今なら、胸を張って言える。
「このグループで、チャニヒョンと、出会えてよかった」と。
---
完














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!