王様が
少しずつ少しずつ近づいてくる
私は、慌てて
王に向かって斧を振ろうとした
その時だった
シャンシャン
どこからか鈴の音が聞こえ…
気づいたときには地面に倒れていた
なぜか、体に力が入らなかった…
他の皆はすでに意識がなくなっていた
聞こえてくる会話は、
意識と共に掠れていった
目が覚めたところは、
私達の知らない場所だった
どうやら、
そらは能力を使ったていたようだった
私達はすべてを話した
それぞれに能力があること
それが原因で、家族を人質にとられ
命令に従わなければいけなくなったこと
こんな大切なことを誰かに
話すつもりではなかった
きっと私達は、
話すことで罪悪感を
紛らわしたかったんだと思う
王は淡々と話し続けた
ケモノビトの王は、
ふところに手を入れ…
いきなり
ゲームのカセットを出した
ふぶきがゲームと言った瞬間に
二人のケモノビトが入ってきた
片方は犬、もう片方は猫のケモノビトだ
そして、
その日は一日ゲームをして過ごした
ふぶさんの協力を得て、
土地を奪う任務に関しては
ごまかすことができた
それから毎日、隠れ家に来ては、
皆でゲームをしていた
皆、楽しくなって 緊張がほどけていった
そして、いつしか
お互いを信用する関係になった
計画立てはじめ、数日が経ち…
作戦決行の日の前夜…
二人とも決意をかため
自分の役割を果たしに行く
そして、作戦決行の日…
私の役割は、
私達の家に人の王を招くこと
その後、ふぶさんが指定した場所に
あずきちがわーぷさせてくれる…
後は、ふぶさん達に任せればいい…
私は王がいる玉座の間に向かった
中に入った時、
空気は静まり返っていた
笑顔…笑顔…
王様は睨んじゃ駄目…
やばいめっちゃムカつくなこいつ…
ちがう…笑顔…めんどくせぇ
なんで私が…
本来ならば
そらちゃんが、この役割を受けるはずだった
なぜなら、交渉が得意なのは彼女だから
だけど、露骨に「すいちゃんが向いてるよ」と
私に行かせようとしていた
今思えば、あの時のそらちゃんは
なにか知っているようだった
バ ンッ
その音が聞こえた後、右足に激痛が走った
バンッ
あの時
聞き取れたのはその音だけだった
そして、
その後に感じたのは身体中の痛みだった
王がすいせいの体を踏みつけながら、
汚いものを見るかのような目を向けながら話続ける
すでに、
出血多量で死んでも
おかしくないほどの時間が経っている
それでも、生きているのは能力の影響だろう
血の気が引いた気がした
思い出しただけでも反吐がでる
自分で築いてきた絆や思い出を
己の手で壊すこと…
胸くそ悪い…
身体中が痛くて、今にも倒れそうだったけど、
体にムチを打って目的地まで向かった
次の瞬間、ミオしゃは倒れていた
体からは、真っ赤な血が流れている…
後から、自分がやったことだと気づいた
一人を手にかけたことに
動揺し体が動かなかった…
おわりかな…と目をつぶり
この先のみんなの安全を願った…が、
そう言ってみこちは、
私に手をさしのべて来た
もし、この時
みこちの手をとっていれば…
もし、あの時
私が裏切っていなければ…
……みんな生きていたかもしれないのに
ころねの目に
血まみれのミオちゃんが写っていた
そして、
私が持っている血濡れた斧を見た
その瞬間、きっと ころねは敵になった
私は能力のバフのおかげで、
常人の10倍は早く移動できる
みこちを掴んで、後ろを振り向かずに
全速力でその場を離れた
急いで
そらちゃんがいる
自分達の家へ向かった
もう少しで着くそう思い、
急ぐと
自分たちの家がある場所が目に入る
家があるはずの場所は
瓦礫の塊になっていた
急いで仲間の安否を、
確認した
倒れたいる彼女達の頬に軽く触れた
冷たい、脈も感じない
なんで…こんなことに…
まだ、泣くわけにはいかない
そらちゃんが生きていれば、
過去にもどって二人を助けることが
できるかもしれない
そんな、願いは一瞬として塵となった
二人の視線の先には、
すでに息絶えている
そらが倒れていた
だけど
仲間の死の悲しみに
ひたっている時間はなかった
半強制的に力が発動され、
みこち向けて斧を振りかぶった
覚悟は固めた
大切なもの守るためなら、
王族殺しにでもなってやる…!!
次の瞬間
王様が指を鳴らした
そして、その音とほぼ同時に
私たちに弾丸の雨が降った
急いでみこちに覆いかぶさったが
四方八方から打たれた弾丸は、
残酷にも、二人を貫いた
しばらくして、銃声が止んだ
王が立ち去った後、
銃弾が降り注いだ場所には
二人が倒れていた
息も絶え絶えな状態で
体を引きずりながら、
みこちの方へ進んで行く
そう言ってみこちは、
私の頬に触れた
体の痛みが少しだが和らいだ気がした
返事はするものの、
一向に自分の怪我を治そうとしない
このままでは、出血が止まらず死んでしまう
進まなければならない
動け
仲間の願いを叶えるために












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。