放課後の薄暗くなった教室。シヨンは机にノートを広げ、真剣な顔で頭を抱えていた。日本での活動に向けて日本語を猛勉強中の彼だが、独特の表現に苦戦しているらしい。
シヨンはノートを持ったまま、ももかの顔を覗き込んできた。
シャープな目元に、どこか異国情緒を感じさせる圧倒的な美形ビジュアル。至近距離で見つめられると、ももかの心臓はトクトクと激しく鐘を鳴らし始める。
シヨンは目をキラキラと輝かせ、犬の尻尾が見えるような無邪気な笑顔を浮かべた。いつもメンバーを引っ張る頼もしいパフォーマンスリーダーなのに、こういう時はとてもピュアで可愛い。
あなたは黒板にチョークで文字を書いた。
【みんな、僕の心臓の特効薬だよ】
シヨンは一文字ずつ、慣れない日本語を一生懸命に口ずさむ。その、少し舌足らずで甘いトーンの声が教室に響くたび、あなたの胸はきゅんとしてしまう。
シヨンは満足そうにノートにメモを取ると、ふとペンを止め、真っ直ぐな瞳であなたを見つめた。夕日が差し込む教室で、彼の綺麗な瞳に、あなたの姿だけが映っている。
予想外の質問に、あなたは完全にフリーズしてしまった。顔が一気に真っ赤に染まっていく。するとシヨンは、あなたの机にスッと腕を伸ばし、さらに顔を近づけてきた。
至近距離で囁かれる、少し低くなった男らしい声。
いつもはお茶目なシヨンだけど、その目は完全に一人の男の子の、熱くて真剣な目だった。
ももかが蚊の鳴くような声で答えると、シヨンは嬉しそうにふわりと微笑んだ。
そして、ももかの手をそっと自分の大きな手で包み込んだ。
シヨンはあなたの手を優しく握り直すと、少し照れくさそうに、でも力強く微笑んだ。
完璧に覚えた日本語のフレーズを、シヨンは世界で一番優しい声であなたに届けた。窓の外に広がる夕焼け空の下、シヨンの真っ直ぐな言葉に、あなたのハートは完全に撃ち抜かれていた。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。