第18話

第十七話『僕なりの愛情/彼なりの愛情』
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2024/10/12 09:23 更新
気づかないうちにルーマニアの手はか細く、骨が透けて見えそうなほどに痩せきっていた。
栄養失調なんだろうか。早く決断しないとルーマニアがこのまま消えてしまうかもしれない。

おそらく健康であろう僕なら、多少なりとも血を吸われても問題ない。ならば………
あなた
いい、ですよ…。
…痛みを我慢してルーマニアを助けるのが最適解。
ルーマニア社会主義共和国
ルーマニア社会主義共和国
い、いいの?
ルーマニア社会主義共和国
ルーマニア社会主義共和国
じゃあ……………遠慮なく。
ほんのりと甘い匂いを漂わせ、僕をじりじりと壁際に追い詰めていくルーマニアは恍惚とした笑みを浮かべていた。
ルーマニア社会主義共和国
ルーマニア社会主義共和国
腕…………いいよね?
恐る恐る差し出した腕に尖い八重歯が突き立てられ、白い肌から真っ赤な血が滴る。

八重歯と言えど刃物ほど鋭いわけではない。かなり痛みはあるが、僕は文句を言えるような立場ではない。
溢れていく朱を一滴も零さないようにと丁寧に舐め取っていくルーマニアの姿は…はちゃめちゃで喧嘩っぽい昨日とは打って変わって儚く妖艶だった。
あなた
あの、そろそろ………
ルーマニア社会主義共和国
ルーマニア社会主義共和国
まら………まらぜんぜんたいないのさまだ、まだ全然足りないのさ…♡
ルーマニアの熱が傷口から血管へと伝わってくる。
跳ねる心臓、溢れ出る血液、満足げな目下の吸血鬼。
ドイツ民主共和国
ドイツ民主共和国
………………。
そして気まずそうなドイツ。
この奇妙で奇妙で奇妙で気まずい時間は、僕の脳みそに嫌と言うほどしっかり鮮明に記憶されていった。
ルーマニア社会主義共和国
ルーマニア社会主義共和国
同志あなた、ありがとうなのさ。
最後に残った一滴をわざとらしくぺろっと口に運ぶと、ルーマニアは満足げに微笑んだ。

不思議なことにさっきの妖艶さは何処かへ消え去り、体も健康そのもの。それどころか肌つやが増したような気すらしてくる。
ルーマニア社会主義共和国
ルーマニア社会主義共和国
同志ドイツも話を通してくれて本当、感謝なのさ!
ドイツ民主共和国
ドイツ民主共和国
いえいえ、お役に立てたようで何よりです。
『それじゃあ、また後で!』
さっきの異常な行為が嘘のように他愛もない挨拶を交わし、廊下へ出た。
ソビエト社会主義共和国連邦
ソビエト社会主義共和国連邦
よう、同志あなた。
ソビエト社会主義共和国連邦
ソビエト社会主義共和国連邦
一つ聞かせてもらうが………同志ルーマニアと何をしていたんだ?
…と同時に、何ともいえない悪寒が背中をぞわぞわとなぞっていった。

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