第43話

反則すぎるby夏油​傑
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2026/01/29 09:00 更新
『納豆ごはんと梅干し』



「ふふ、シンプルだね。でも栄養素を考えると足りないから、だしまき卵と豚汁も追加しようか」






『でも、それは買いに行かないと』



「私の冷蔵庫に昨日買ったばかりの食材が置いてあるから、さっとできるよ。
 勿論、硝子の分も作り置きしていこう」

『うん』





“私も、手伝っていい?”と許可を待つあなたちゃん





すでに袖を捲し上げて、私に加勢する気満々な様子。


その姿に、思わず微笑みがこぼれた。







──なんていじらしく思ってしまうのだろう


愛しい、という言葉では足りない。







胸の奥が、じんわりと温まるような感覚。







彼女の存在が、この場の空気の温度を変えてしまうようだ。









「それじゃあ計量カップの洗浄と卵割りを任せるよ」

『任せて』




子猫柄のエプロンを首に引っ掛けて、パタパタと自分の冷蔵庫を開けに行く彼女
その後ろ姿が、どうしようもなく慈しみたくなった。


_____






食卓に並んだ湯気の立つ料理。

彼女が箸を動かしながら、ふと呟いた。












『前から思ってたけど、傑くんのご飯ってすごく美味しいね』







その言葉に、胸がじんとくる。
料理の腕を褒められることはあっても、
彼女のように、心からそう言ってくれる人は少ない。







「……また今度、ともに作ろうか」


別に期待なんてしていない。今回は偶々寂しいときに私と出会ったまでなのだから。
だけど____


『作りたい。優しい味がするから、私は好き』





ほのかに微笑みながらそう言った彼女。






その表情は、柔らかくて、あたたかくて──







彼女自身は気づいていないのだろう。
それがどれほど、私の心を揺らしたか。














「……すまない、ちょっと席を外すよ」

立ち上がって、部屋の外へ。
私は壁にもたれて、深く息を吐いた。

熱くなった顔に手を当てて、冷静になろうとする。













「……あの顔、反則すぎないか」









──どうして、こんなにも惹かれてしまうのだろう。
彼女の笑顔が、私の理性を簡単に崩してしまう。



むしろ私の方が、意識しすぎてしまっている。






ああ、駄目だ。







それでも、今はまだ

この距離を、大切にしたい。

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