今日はハイネックのニットにパーカー、下はワイドパンツ。ザ・デート服みたいなチョイス。でもこれがいいの。阿部ちゃんベタなの大好きだから。
あいつのらいん返すか...?
あ、辰哉って相手の名前ね。ここだけの秘密だよ?
阿部ちゃんは可愛いし辰哉はかっこいいから系統違うもん!
そこまで打って、慌てて奥の方にしまい込んでたおしゃれ着を引っ張り出してくる。
(阿部Side)
...さては誰か俺の噂したな?
思ったより外寒くてびっくり。下手したら雪降んじゃない?(笑)
ふと誰かと肩がぶつかった。
赤の他人ですみたいな顔して振り返ってみる。
ちょいちょいと袖が引っ張られた。
ちょっと早足で通り過ぎようとした。
俺は雪ちゃん(雪乃ちゃん)の手を掴んで走った。とにかく目黒くんと反対の方向に。しばらく走って、二人とも息切れで立ち止まった。
俺は、雪ちゃんに一から十まで全部話した。目黒くんとのこと、目黒くんが浮気したこと、今は佐久間とシェアハウスしながら仲良く暮らしてること。
バチン、と音がした。それからだんだん自分の頬にジンジンと痛みが走った。痛くて頬を抑えてると、雪ちゃんからお叱りの声が飛んだ。
第三者から見てもそう思うんだ...相当だな。
すごい図星。佐久間に傾いてる部分だってある。
ほんと後回しでいいし、一瞬で答え出せるならこんな苦労してない...
大きく手振って見送ってくれる雪ちゃんに感謝しながら、俺はさっきの場所まで走った。
息が切れても、何度も雪ちゃんの“まだ遅くない”って言葉がフラッシュバックして、一刻も早く、って思いながら走った。

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。