陽愛 side
あの子は昔のトラウマから、今の性格になった。
なんとなくの理由は会長も知っているだろう。
そう言い、私と会長はこの学校でいちばん人気のない第2理科準備室まで足を運んだ。
少し足早な会長。後ろからそれを眺められるのは絶景すぎる──そんな思い不謹慎だけど。
古びたドアの開く音。最近あった校舎の改装工事はほとんどの場所がされているのに、ここだけされていない。それが人気のなさの理由だ。
入る人もいなければ、入りたがる人もいない。実験用具はすべて第1理科準備室に集められ、ほぼ空き教室に近い。
もっと、汚らわしくて、吐き気がする、こと。
knt side
そう口に出されたとき、僕はまた自分の無力さに気付いた。
そうだ、僕は知らなかった。
畑中さんの話したこと、僕は全部知らない。
──ただのエゴだったんだ。
勝手に決めつけて、勝手に同情して、勝手に哀れんで、勝手にノルマなんかつけて。
片手で顔を隠すように覆う。その隙間から、何ともいえない畑中さんの表情が見えた。
陽愛 side
そう呟く会長に、私はなんと声をかけていいのか分からなかった。せっかくの大チャンスなのに。もうこれから先、ないかもしれない状況なのに。
今思えば、あなたの下の名前の親友でいれたことが、私の存在価値なのかな。
誰かのいちばんに選んでもらえたことは、幸せだったよ。
それからしばらく、私と会長の間に沈黙が流れた。
書いてるとき、この3人の関係がめちゃくちゃドロドロで難しくて、結構苦戦しました
気持ちのすれ違いを感じていただけたら嬉しいです!
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!