第2話

プロローグ:天邪鬼の前奏曲②
225
2025/06/11 09:00 更新
俺は家元 爽介いえもと  そうすけ、2年A組の学級委員。




俺は今、苦悩している。どうしてこんな事を
してしまったのだろうか、と。







何があったかって?



それは、数分前のこと…
俺は、気になる人がいる。なんなら
目の前にすやすやと寝息を立てて寝ている。

その人は、クラスメイトの墓杜 冥々さん。
紺色でサラサラの髪に、サファイアみたいで
吸い込まれそうな綺麗な瞳が魅力的な女子。
俺が副部長やってる剣道部のマネージャー。
絵が超上手くて、剣道部の勧誘ポスター
なんか描いてくれたりもする。

いつも元気な彼女だが、疲労が祟ったか
体育の授業中にぶっ倒れてしまった。

それが俺の苦悩の原因である。



何が問題なのかって?



俺は、何を思ったか彼女をお姫様抱っこで
この保健室まで連れてきてしまったのだ。
咄嗟の判断とはいえ気持ち悪すぎる。
彼女からしたら、ただの部活の知り合い
兼クラスメイトである男に身体を
触られた訳である。しかも意識ない時に。

だってクラスメイトだよ?


俺たち付き合ってもないんだよ?
友達でもないんだよ?クラスメイトだよ?

あっちからしたら最悪すぎる訳で。
iemon
iemon
もー絶対嫌われたってぇ…
とか言いつつ別に「好き」ではない。彼女は
ただ「気になっている」クラスの女の子である。

誰が運んだかバレないように早く
授業に戻らねば…と思い、彼女を寝かせた
ベッドの横の椅子から立ち上がる。


が、一旦座り直す。
いや、こんなチャンス滅多に無いし…

でも、墓杜さんからしたらクラスメイトで
ただの知り合いに寝顔見られるのは
嫌すぎるよなとは思うんだけど…



俺はどうしても離れたくない理由があった。

この生物、寝顔が可愛すぎるのだ。
なぁんだこいつ。小動物やん。
iemon
iemon
可愛すぎなんだけど。
思わずそんな一言が漏れてしまった。
これが聞かれてたら流石に自害を検討する。



そうして、チャイムが鳴った気がしたが
無視してしばらくその可愛らしい寝顔を
見つめていると、「んん…」と妙に婀娜あだっぽい
声を出しつつ、彼女が目を覚ました。
iemon
iemon
(…何その声、めっちゃ可愛いんだけど)
と思ったのは墓場まで持って行く事にする。

もう一度言うが、俺は彼女が「好き」ではない。
ただ単に彼女が魅力的な女の子だから少ーし
だけ「気になっている」だけである。
めめんともり
めめんともり
ん…家元、くん…?
iemon
iemon
あ、うん…家元。
めめんともり
めめんともり
今何時ぃ…?
彼女はまだ眠たいのか眼を擦る。
iemon
iemon
あ、12時半過ぎ。もうお昼だね
めめんともり
めめんともり
…私今購買行ってもいいのかな?
お弁当忘れちゃってさw
iemon
iemon
え、そうなの?でもぶっ倒れた人が
購買現れたらびっくりじゃない?w
めめんともり
めめんともり
うぐ、確かに…
iemon
iemon
俺も弁当忘れたし購買行ってくるわ。
ちょっと待ってて!
そう言って、俺は保健室を足早に出た。
〜めめんともり視点〜
めめんともり
めめんともり
…へ?
めめんともり
めめんともり
え、待って待ってどういうこと…!?
私がぶっ倒れたのって12時前くらい
だったよね?そっから30分家元くんが
横にいたってこと?そんな訳ないよね?

っていうかアレってもしかしなくても
私の分のお昼ご飯も買ってきちゃう
やつだよね?お金払わなきゃ…!
っていうかスマートすぎないか?
普通に落とされかけたんだが?


もう…
めめんともり
めめんともり
そういうとこだよ…!
そう言って、恥ずかしさのあまり
三角座りをして自分の膝に顔を
埋めてしまった。


なんとなく、頬と耳が熱い。

心拍数の上昇を感じる。
めめんともり
めめんともり
はぁ…



iemonがモテるのは知ってたけど、
モテる理由がより分かった気がした
めめんともりであった。



でも、決して恋心を認めた訳ではない。

彼はただ「気になる人」なのである。

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