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第11話

第十話
150
2024/06/13 11:51
水道で顔を洗っていたのは三井先輩だった。
三井寿
んな俺のこと嫌いかよ、
あなた
や、べつに、そんなことは、
いくら嫌いとは言え、そんなに悲しそうな顔をされると胸が傷んでしまうじゃないか。
なるべく三井先輩の顔を見ないようにして、そそくさと蛇口を捻った。

瞬間、
三井寿
あぶな
ぶしゃぁぁあぁぁあぁっ
蛇口を捻ったら、水が噴き出た。

とてつもない勢いで。
束の間の静寂のあと、私の髪から滴る水が地面へ落ちた。
あなた
びっ…くりした……
三井寿
おい、大丈夫かよ
そこ故障中って書いてあんじゃん
三井先輩が指さす先には、確かに故障中と書いてある紙が貼ってあった。

早くここを離れる一心だった私には見えていなかった。
あなた
(また、失敗しちゃった…しかも三井先輩の前で…)
途端に顔が赤くなった。

また、笑われてしまうだろう。
そう思っていたのに
バサっ
あなた
え?
視界が白くなった。

ふわりと三井先輩の匂いがする。

タオルを被せられた…?
三井寿
それで拭けよ
タオルの隙間からチラリと除くと、三井先輩が体育館に戻ろうとしていた。
あなた
待ってください、!
気づけば三井先輩の腕を掴んで引き留めていた。
三井寿
あ?どうした?
あなた
タオル、ありがとうございました…///
何だか照れくさくて、タオルで顔を隠した。
すると三井先輩はタオルを私の手から抜き取って意地悪な笑みを浮かべて言った。
三井寿
顔、隠すなよ
あなた
〜っ!/////
三井先輩はもう一度タオルを私の頭に戻して、上からわしゃわしゃと頭を撫でた。
男性に免疫がない私にとって、頭を撫でられるのも初めてだったし、三井先輩の匂いで脳も、肺もいっぱいになってクラクラする。
三井寿
風邪、ひくんじゃねーぞ
思う存分に頭をわしゃわしゃした後、満足したように頭をポンポンして去っていった。
あなた
(頭…ポンポンされた…!/////)
やばいやばいやばいやばい
なんか、ドキドキする…

『この胸の高鳴りは何…?』と聞くほど鈍感でもない。

ただ少しだけ、三井先輩の好感度が上がっただけ。

それ以上でも、それ以下でもない。
あなた
…ない、よね
あなた
くしゅんっ

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