太宰side
とある日の昼下がり。
国木田君に言いつけられた仕事を片していると、不意に乱歩さんに声をかけられた。
すぐさま返事をし、乱歩さんの元へ駆け寄る。
だが、乱歩さんは此方を見つめたまま動かない。
数分は経っただろうか。そろそろ羞恥心が勝ってきたので声をかける。
私の一言で我に返ったようだった。
思い切って聞いてみた。
完全に予想外だった。顔が熱くなっていくのがわかる。恥ずかしすぎる。今なら死ねそうだ。
乱歩さんと顔が合わせられなくて目線を逸らす。今私はどんな顔をしているのだろうか。きっと茹でダコみたいに真っ赤に違いない。
ふと気になって、チラッと乱歩さんの様子を見る。とても愛おしそうな顔で此方を見つめている。なんでだよ。恥ずかしすぎる。
結局、探偵社に皆が帰ってくるまで続いた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!