※ここは、あなたが炭次郎の恋人である世界です
炭次郎は隙間から見える空をみて言う。
炭次郎は、太陽みたいに微笑む。
そして、大きな手を振り、戸から出ていった。
その後起きることを、二人とも知らずに。
炭次郎が行ってしばらくたった頃。
いきなり、唸り声が聞こえた。
察した瞬間、振りかかってきた。
間一髪避けたつもりだったが、頬から血が垂れる。
私も剣士だから、と、刃を握ろうとするが......
刀を、忘れて帰ってきていたのか、腰に見当たらない。
元々忘れんぼ(ごめんねこの設定)なのだが、ここまで困ることは滅多にない。あなたは家を飛び出し、走った。
鬼は追ってくる。
何も考えずに飛び出したが、行く手が見えた。
だが、阻まれた。
あなたは吹っ飛ばされた。
そのまま意識が飛ぶ。
だが、修行のお陰で一瞬にして取り戻す。
なのに、思うように身体は動かない。
全身を打ちつけたようだ。
目の前には鬼がいる。
この状況を、あなたは絶望した。
あぁ、ここで終わるの......?
あなたの感情は諦めに近かった。
だが、そう思った瞬間、走馬灯のように、炭次郎との思い出が蘇ってくる。
共に笑ったこと、泣いたこと、戦ったこと、いろいろと......。
相手は振りかかって、ぎゅっと目をつぶった、その時。
ギャアアアアッッッ
と、唸り声が響き、視界が明るくなった気がした。
聞き覚えのある、包み込むような安心を感じる、あの声。
私を見る。
相手は、優しい、やはり太陽のような微笑みをみせる。
落ち着かせようと、してくれているのだろうか、こっちを気遣って....。
悔しさと許せなさのせいで、普段全然泣かないのに、雫が地面にパラパラと落ちる。
炭次郎は、そんなあなたの背中に、大きな、暖かい手のひらをのせて、言う。
その言葉に、あなたは救われた。
ずっと、これからも一緒に___














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!