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第1話

かいけつゾロリ「黄金の城となぞの怪盗」
22
2026/02/03 09:16 更新
修行の旅を続けるゾロリ、イシシ、ノシシ。
次の目的地は、この険しい雪山の向こう側にある街……のはずだったのですが、

ゾロリ「おっかしいな……。和食屋のおばちゃんの話だと、この山を越えればすぐに街が見えてくるはずなんだが……」

ゾロリは旅合羽の襟を立て、吹きつける風を遮りながらつぶやきました。さっきまで食べていた和食屋さんの温かいご飯の余韻も、この寒さで一気に吹き飛んでしまいそうです。

「ヒョオオオオオ〜〜ッ!!」
突然、耳を裂くような冷たい風が吹き荒れ、あたり一面が真っ白な世界に変わってしまいました。

ゾロリ「うわあああ…こんな吹雪になるとは聞いてないぞ〜」
イシシ「仕方ないだよ、山の天気は気まぐれだ〜」
ノシシ「どうするだ、せんせ〜」

イシシノシシはゾロリの旅合羽の中に入り込み、足にしがみついている。ゾロリが辺りを見渡すと、1軒の誰も使ってないような小さなロッジを見つける。ゾロリはそのロッジを指さして、

ゾロリ「イシシノシシ!ひとまずあそこの小屋に避難するぞー」
イシシノシシ「はいだ〜…」
ロッジへと避難することに……。

ゾロリが勢いよく扉を開けると、そこは外の寒さが嘘のような、不思議な空間が広がっていました。
ゾロリ「……おわっ? 外見はボロいが、中は意外としっかりしてるじゃねえか」
イシシ「あったかいだ〜」ノシシ「助かっだ〜」

埃(ほこり)はかぶっているものの、そこにはアンティークな暖炉や、重厚な木製のテーブル、そしてふかふかそうなベッドが並んでいます。まるで、つい最近まで誰かが住んでいたかのような空間でした。

すると、ノシシが暖炉そばでブランケットにうずくまる、小さなハムスターと妖精を見つけます。
ノシシ「ゾロリせんせ、あれ……」
ゾロリ「……ん?なんだ先客がいたのか……」イシシ「なんだか、震えてねーだか? 」
ゾロリ「…よし、おれさまが話しかけてみるぜ」
ゾロリはハムスターと妖精にそっと近付き、彼らの目線に合わせ、しゃがんだ。
ゾロリ「……あのー、何かあったのですか?」
ハムスターと妖精はゾロリの声に気付き、ふと顔をあげる。ゾロリとイシシノシシは心配そうに見つめていた。
モグ「旅のお方ですか……?僕はモグ。森に帰る途中に吹雪にあって、ここで避難してたんです」
パウダ「私はパウダよ、モグの友達なの。今は誰も住んでないみたいだから、ここに一時避難してるの」
ゾロリ「俺はさすらいの旅人……ゾロリだ」
イシシ「イシシだよ!」ノシシ「ノシシだよ!」
モグパウダ「よろしくね!」
ゾロリイシシノシシ「よろしくー!!」
ゾロリ、イシシ、ノシシとモグとパウダは順番に握手をした。
ゾロリ「実はおれたちも、この吹雪にあって避難してきたのさ……」
イシシノシシが窓の外をみる。まだ吹雪はおさまってない模様……。
イシシ「まだビュンビュン吹いてるだ」
ノシシ「見るからにさむそうだよ……」
ゾロリはこのロッジの部屋を見渡して、
ゾロリ「でも、こんだけ家具が揃ってれば…急ぐ旅でもないし、ここで1晩過ごすか……」
と小声で言うと、イシシノシシ、モグとパウダはん?とゾロリに注目し、
ゾロリ「あー、良かったらモグとパウダも一緒に吹雪がおさまるまでここで避難するか?」
モグパウダ「はい!」
2人は元気よく返事をした。

ノシシ「そういえば、さっきおばちゃんからもらったおにぎり食べるだよ!」
ノシシが自分のはらまきをガサゴソ探ると、和食屋のおばちゃんからもらったおにぎりが出てきました。しかし、1粒凍ってて、それが運悪く……パチィィィン!!
と、凍ったご飯粒が熱で弾け、火の粉が勢いよく飛び出しました!

ゾロリ「………あちちちちち! あっちぃーーーーっ!!! 」
ゾロリの自慢のしっぽに火が飛び火してしまいました。
イシシ「あー、ゾロリせんせー」
ノシシ「大丈夫?」
ゾロリ「……おれさまの美しいしっぽが……」
パウダはそれを見て、胸元から小さな杖を取り出しました。
パウダ「 ヒヤリンコ・治れ・パウダー!」

パウダが杖を振ると、キラキラとした青い光の粉がゾロリのしっぽを包み込みました。すると、赤くなっていたゾロリのしっぽが、一瞬で元通りに!
ゾロリ「おっ!サンキュー!って、パウダ……魔法を使えるのか?」
パウダ「……ほんの一部ですが……一応、魔法学校の生徒なんです……」
モグ「すごい!パウダ! ゾロリさんのしっぽ、前よりフワフワになってる!」
モグはゾロリのしっぽにばふぅーと抱きついた。
ゾロリ「……ほんとだ!さらにカッチョよくなったぜ!でかしたぞ、パウダ!」
パウダはえへへと照れた。
イシシ「ということはー……ネリーちゃんって子を知ってるだか?」
パウダ「はい!」
ノシシ「元気にしてるだかね?ネリーちゃん」
モグ「知り合い?」
ゾロリ「あー、友達さ」

*☼*―――――*☼*―――――

暖炉の火がパチパチと心地よい音を立てる中、5人は和食屋のおにぎりを頬張りました。
モグ「……おいしい! さっきまで怖かったけど、ゾロリさんたちと一緒だと、なんだか安心します!」
ゾロリ「へへっ、そうだろう。このゾロリ様の行くところ、どんなピンチも楽しい冒険に早変わりよ。……まあ、おれさまは早く自分のお城を手に入れて、ママに見せてやりたいんだけどな」
ゾロリはふと、寂しげな顔をした。
パウダ「自分のお城……。ゾロリさんなら、きっと作れるわ。ネリー先輩も言ってたもの。『ゾロリさんは、絶対に諦めないすごい人なんだから』って」
ゾロリ「…ネリーちゃんが?」ゾロリは少し嬉しそうだ。
モグがキラキラした目でゾロリを見る。
モグ「……カッチョイイ……! ボク、応援するよ!」
イシシ「ゾロリ先生は世界一、かっちょいいだよ!」
ノシシ「いや、宇宙一だ!」
ゾロリ「いやぁ〜、それほでも…ありありってとこかな」
そんな話をしながら、夜は更けていきます。ゾロリは部屋の隅にある大きなアンティークの鏡の前に立ち、しっぽのフワフワ具合をもう一度確認しました。
ゾロリ「……しっぽも治ったし、鏡に映るおれさまは今日も無敵のカッチョよさだぜ。よし、明日に備えて、みんな!今日はゆっくりこのふかふかベッドで寝よーぜ!」
5人はふかふかベッドに入り、ゾロリの腕にモグがくっついて寝て、イシシノシシの間にパウダが入った。

少したって、モグはふと目が覚めた。
まだ、吹雪の音が聞こえる──────
ゾロリ「ママぁ〜……」とゾロリが寝言を言って、モグをママだと思い、ギュッと抱きしめた。
モグ「ゾロリさん……?」ゾロリを見ると、目には涙が浮かんでた。モグはそっとゾロリの涙を小さな手で拭き、ぴょいと窓のでっぱり部分に飛び乗った。
モグ「明日には吹雪がおさま
るといいね……」
モグが辺りを見渡すと、イシシノシシやパウダも気持ちよさそうに寝ていた。
ゾロリもなぜかふと目が覚めた。
ゾロリ「ん?……モグ、まだ起きてたのか?」
モグ「え、いや!吹雪の音で目が覚めまして…」
ゾロリ「ふーん…明日には止むといいな…」
モグ「はい……」
ゾロリ「ほら、布団にはいらないと風邪ひくぞ?」
と、ゾロリはモグをそっと手のひらですくいあげ、自分の身体に寄せた。
モグ(ゾロリさん……あったかい)
そして、いつの間にかゾロリとモグも眠りについていた。
*☼*―――――*☼*―――――*☼*――――

そして、太陽の光が優しく窓から入る朝。
ゾロリ「……んあ?朝か……」

ゾロリが大きく伸びをすると、ふかふかのベッドがきしっと音を立てました。
その拍子に、モグが目を覚まします。

モグ「……?おはようございます、ゾロリさん!」
ゾロリ「おはよー♪」
イシシノシシも起床。

イシシ「おはようだ〜」
ノシシ「よくねただよ〜」

パウダはすでに起きていて、窓のそばに立っていました。

パウダ「……見て。吹雪、止んでるわ」
ゾロリ「お!どれどれ〜?」
イシシ「良かっただね〜」
ノシシ「一時はどうなるかと……」

その言葉に、
ゾロリ、イシシ、ノシシ、モグ(ゾロリの肩)が一斉に窓へ駆け寄ります。

一同「お〜!!」

朝日に照らされた雪景色が、きらきらと輝いていました。
イシシノシシ「綺麗だ〜!」
ゾロリ「昨日の吹雪が嘘のようだぜ……」
モグとパウダもキラキラと目を輝かせていた。

ドアポストが風の影響で開いたりしまったりとカタカタし、その開いた瞬間に1枚の紙が風に乗って、どこからか飛んできた。

ゾロリ「……ん?なんだ?この紙は……」
ゾロリが紙の存在に気付き、拾い上げた。
イシシ「そんな紙……あったような〜」
ノシシ「なかったような〜」

そこには派手な文字とイラスト。

『雪原ドタバタ!雪合戦大会!!
 優勝賞品:黄金のお城』

ゾロリ「……ぬわぁぁんだってぇぇぇ?!」

突然叫ぶゾロリ。
モグがびっくりして落ちかけたところを、ノシシがあわててキャッチ!

イシシ「ゾロリせんせ?」
ノシシ「どしただか? 急に……」

ゾロリ「……これだよ!」

ゾロリはチラシを掲げ、全員に見せた。

全員「?」

ゾロリ「これ、参加するしかなくね?」

イシシ「雪合戦大会……?」
ノシシ「なんか、面白そうだね!」

ゾロリ「ここだよ、ここ!」

ゾロリは
「優勝賞品:黄金のお城」
の文字を、びしっと指さした。

モグ「……黄金の?」
パウダ「……お城……?」

ゾロリ「その通り!」

ゾロリはニヤリと笑う。

ゾロリ「このお城を手に入れて――
ゾロリ城にするって寸法よ!」

イシシ「なるほど〜! そりゃいいだ!」
ノシシ「参加するだか?!」

ゾロリ「もちろん!
このおれさまが、優勝をいただくぜ!」

モグ・パウダ「おー!!」
(*’ω’ノノ゙☆パチパチ

モグ「ゾロリさん、かっちょいいー!」

ゾロリ「まあな!」

イシシ「雪合戦かぁ〜、楽しそうだね!」

ノシシ「……そうだ!
みんなでチームになるだよ!」

ゾロリ「おっ! そりゃいい考えだ!」

ゾロリは、モグとパウダにウインク。

ゾロリ「モグ、パウダ。
一緒にやろうぜ?」

モグ・パウダ「はい!」

ゾロリ「よっしゃー!」

ゾロリはチラシをぎゅっと握りしめ、声を張り上げた。

ゾロリ「そうと決まれば――
雪合戦大会に出発だー!!」

全員「おー!!」
*☼*―――――*☼*―――――*☼*――――
会場に着くと、多くの人たちで賑わっていた。
ゾロリ「結構賑わってるな……」
モグ、ゾロリの肩からキラキラした目で会場を見渡す。

「参加受付はこちらでーす」

声の方を見ると、
ビシッとしたスーツに身を包んだ受付のお姉さんが立っていました。
ゾロリ「お、受付だってよ!行くぞ!」
イシシノシシ「はいだー!」
パウダ・モグ「はい!」

──────大会受付ブース──────

雪原の一角に立つ、
「受 付」と書かれた簡易テント。

長机の向こうには――
やたらと事務的で無表情なお姉さん。

受付のお姉さん
「……次の方、どうぞ」

ゾロリはチラシをバサッと机に置き、
キメ顔で前に出る。

ゾロリ
「へへっ、待たせたな。
 このゾロリ様が、雪合戦大会に――」

受付のお姉さん
「参加人数は?」

ゾロリ
「え?……えーっと……」

イシシ
「おらたちとゾロリせんせで3人……」
ノシシ
「モグとパウダで2人……」

受付のお姉さん
「……5名ですね」

無言でカリカリと書き込む。

ゾロリ
「いやいや、ちょっと待て。このチームのリーダーは、このおれさま――」

受付のお姉さん
「チーム名は?」

ゾロリ
「チーム名?聞いて驚け?」

(ドン!とポーズ)

ゾロリ
「最強無敵!雪原の王者・ゾロリ様御一行!!」

……。

受付のお姉さん
「文字数オーバーです」

ゾロリ
「なにぃ!?」

モグ
「ありゃりゃ……」

パウダ
「……(笑)」

ゾロリ
「じゃあ……」

少し考えて。

ゾロリ
「チーム・ゾロリでいい!」

受付のお姉さん
「……はい」

スタンプを
ドン!!

受付のお姉さん
「これ、参加証です。無くした場合は失格になります」

ゾロリ
「よし、みんな頑張るぞ!」

ゾロリ以外全員「うん!!
と、ゾロリたちが歩こうとすると─────

受付のお姉さん
「……あと、これに着替えてくださいね」

ゾロリ
「な、なんだ?これは……」

受付のお姉さん「この大会でのユニフォームです…それと控え室の鍵をどーぞ」
ゾロリたちは受付のお姉さんから赤いユニフォームと控え室の「011」と書かれた鍵を受け取った。
ゾロリ「サンキュ!」
モグ「かっこいい〜!」モグがキラキラした目でユニフォームを見つめてる。
パウダ「なるほど…動きやすいようにスポーツウェアに着替えるのね」
イシシ「燃えてきただね」ノシシ「だね!」
──────────────────

ゾロリたちは赤いユニフォームを抱え、指定された控え室「011」を探して歩いていました。
ゾロリ「えーっと…011は……」
モグ「ゾロリさん、見て! あっちに青いユニフォームの人たちがいるよ」
ゾロリ「……ん?」
イシシ「あれって……」ノシシ「ガオンにビート、イヌタクでねーだか?」
ゾロリ「……また面倒な奴らが……(汗)しかもなんでよりによってあの3人が……」
すると、どこからか1本の赤いバラの花が────
ゾロリ「バラだ……」
モグ「ゾロリさん、ナイスキャッチ( *˙ω˙*)و グッ!」
パウダ「綺麗なバラね……」
???「……ふん。こんな大会に、わざわざ修行の手を休めてまで出てくるとはな」
ゾロリ「…ガオン!……なぜここに?」
ガオン「久しぶりだな、ゾロリ。私はただ、雪の中での物理演算を試しに来ただけだ。あと、面白そうなんでね……」
イシシ「ガオンもハリキッてるだね」ノシシ「なんか、余裕そうだし…」と小声で話す2人。ガオンの横から、
ビート「ゾロリ!!黄金のお城という素晴らしい賞品……悪党なんかに渡すわけにはいかないからな……」
ゾロリ「なに?!黄金のお城を手に入れるのはこのおれさまだ!」
イシシ・ノシシ「そうだ!せんせーは負けないだー!」
ビート・ゾロリバチバチに睨み合う(ゾロリはどこか余裕な顔)
イヌタク「相変わらず仲良いですねー」
ビート・ゾロリ「よくない!!」息ぴったり。
ゾロリ「それに、今回は強力な助っ人のモグとパウダもいるんだ!」
ビート「……?」
モグ「モグです!」パウダ「パウダよ」
イヌタク「可愛い助っ人ですね……」
ゾロリ「だろ?……で、ビートとイヌタクはなぜここに?」
ビート「俺は……町長さんにこの大会を盛り上げる役として出てくれとの依頼だ!あと、町長さんからは大会を盛り上げるだけでなく、もう一つ重要な任務を頼まれているんだ。最近、各地のイベントに現れてはお宝をかすめ取っていく、正体不明の**『謎の怪盗』**がこの大会にも現れるという噂があってな…」

イヌタク「だから僕たちは、参加者として潜入しつつ、周囲に目を光らせているというわけです」

ゾロリ「なるほど…謎の怪盗か……」
ガオン「よし、ゾロリ!正々堂々と勝負だ!」
ゾロリ「望むところだ!」
イシシノシシ「がんばるだー!」

そういうと、ゾロリたちとガオンたちはそれぞれの控え室へ向かった──────

控え室011号室内──────
中は何故かガラクタが散らばってました。
イシシ「うぇ〜……ゴミだらけだ」
ノシシ「ありゃりゃ……」
ゾロリは何かを思い付き、ニヒッと笑い、
ゾロリ「これは使えるぜ……」と呟く。
モグ「何かするの?」
ゾロリ「雪玉発射機を作ろうと思ってな」
パウダ「このゴミで作れるの?」
ゾロリ「おれさまに、任せとっけ☆」
そう言うとゾロリは、ゴミの山を利用し、手際よく「これをこーして、こうすれば……と」
ふぅーっと作り上げた頃にはゾロリは汗びっしょりでした。
ゾロリ「できた!名付けてゾロリバズーカだ!!…これを使えば雪玉を連射できるのさ?ニヒッ」
イシシノシシ「さーすがゾロリせんせー!」
モグ「おー!ゾロリさんすごい!」
パウダ「うん……ただものではないわね……」
ゾロリ「おれさま天才!ゾロリ様にとっては朝飯前よ?……て、この部屋なんか暑くないか?」
イシシ「言われてみれば……」ノシシ「なんか暑いような……」と、ノシシはふと暖房の温度をみた。
ノシシ「うぇぇぇぇ!ゾロリせんせ、暖房の温度が29度になってるだー!」
ゾロリ「なにぃぃぃ?!」
イシシ「ノシシ、温度を少し下げるだよ〜?」
ノシシは必死にボタンを押すが下がらない仕様になっていた。
ノシシ「どーなってるだ?温度がさがらないだよ?」
パウダ「 私に任せて!ヒヤリンコ・治れ・パウダー!」
パウダの魔法とともに部屋はヒンヤリし、暖房の温度も下がるようになっていた。

この部屋は「ハズレ部屋」というか怪盗の仕業で、さっきの受付のお姉さんは怪盗キューティーズのリーダーが変装した姿だった。

パウダ「私、元に戻せる魔法ならなんとか使えるの……」
ゾロリ「でかしたぞ、パウダ!」とゾロリ、パウダの頭なでなで。
パウダ「えへへ…///」
ノシシ「すごいだ〜!」イシシ「良かっただ!これで元通りだね!」

外でこの出来事を聞いていた怪盗キューティーズのリーダーはチッと舌打ちをした。

ゾロリ「ふぅー、なんかジュースが飲みたくなってきたな……」
ノシシ、財布の中身を確認。
ノシシ「うーん……ゾロリせんせ!500円あるだよ!」
ゾロリ「お!でかしたぞ、ノシシ!それでジュースが買えるな!……モグ、パウダ!」
モグパウダ「はい!」
ゾロリ「ちょっくらジュースを買いに行ってくるから、俺様の特製ゾロリバズーカを誰かに盗まれないよう、見守りを頼むぜ?」
モグ「まかせてください!」
ゾロリ「モグたちのジュースもちゃんと買ってくるから、安心して待っててな!」
パウダ「はい!」
ゾロリ「それじゃ、行ってくるぜー!」
イシシノシシ「行ってくるだー!」
モグパウダ「行ってらっしゃーい!」
と颯爽と出るゾロリ達に手を振り、モグパウダはゾロリの指示に従い、「ゾロリバズーカ」の見守りで留守番することに。
アナウンス「雪合戦大会まで、あと15分、あと15分…みなさま、熱い戦いを期待してます!開会式がありますので、それまでに会場までお越しくださいませ」
雪合戦大会まで残り15分……。緊張が迫ってくる。
控え室──────
モグとパウダは静かな控え室で机に置かれた「ゾロリバズーカ」を見つめながら待っていた。
モグ「にしても、ゾロリさんってすごいよね」
パウダ「……ん?」
モグ「あのゴミからこんなメカを一瞬で作るなんてさ……」
パウダ「そうね……ゾロリさんってかっこいいよね」
モグ「うん!!」
すると──────
???「頑張ってるみたいね、ゾロリちゃん」
どこからか、声がした。モグとパウダが振り向くと、そこにはゾロリそっくりの女性がいた。
モグ「誰……?」
ゾロリーヌ「はじめまして、ゾロリの母です」
モグパウダ「えー?!」
なぜかモグとパウダにはユーレイのゾロリの母「ゾロリーヌ」の姿が見えていた。
ゾロリーヌは、ゾロリが子供の頃に病気で亡くしてしまい、今やユーレイにでもなってゾロリを見守る、ゾロリの最愛の母です。
モグ「は、はじめまして……ゾロリさんのママさん」
パウダ「ゾロリさんそっくり……」
ゾロリーヌ「ふふっ♪私はゾロリが子供の時に天国に行っちゃったんだけど、あの子が心配でいつもこうして見守ってるの……あの子には私の姿はみえないけどね」
モグ・パウダ、少し涙ぐむ。
ゾロリーヌ「ゾロリちゃんと、仲良くしてくれてありがとね……」
モグ「いえいえ、こちらこそです!」
パウダ「ゾロリさんには優しくしてもらってます!」
ゾロリーヌ「そう……良かったわ♪……雪合戦大会も頑張ってね」
モグ・パウダ「はい!!」

そこへ、ゾロリ達がタイミングよく戻ってきた。
ゾロリ「ん?誰に返事してんだ?」
モグ「え?!…いや、なんでも……」
イシシ「それより、ジュース飲むだよ!」
ノシシ「モグとパウダにもあるだよ」
モグパウダ「ありがとう〜!!」
全員「かんぱーい!!」
ゾロリたちがぐびぐびジュースを飲んでると…。
──────もうすぐ、開会式が始まります!選手の皆様は会場までお越しください──────
とのアナウンスが聞こえてきた。
ゾロリ「やべっ!もう開会式だぁ〜!お前たち、行くぞ!」
イシシノシシ「はいだ!」パウダモグ「はい!」

そういうとゾロリたちは颯爽と会場へと走った──────

会場に着くと、強そうな選手たちと観客で賑わっていた。
モグはゾロリの肩からその様子を見ていて、しがみついていた。
ゾロリはその様子に気付き、肩にいるモグを見て
ゾロリ「大丈夫、俺がついてるからさ?な?」
モグ「……うん」

町長「皆様、お待たせしました!これより大会を開始する!」

そして、第1試合が始まる──────

ゾロリたちは第2試合に出る予定で、相手はガオンのチームだ。
緊張が走る中、ベンチにて──────

ビート「燃えてきたぞ!俺のこのジャスティスが!」と、いつものようにしっぽから蒸気がポーっと爆発。ゾロリたち、汗がタラタラ。
ゾロリ「あつー……試合前に汗かかせないでくれよな?」
ビート「ジャスティスが、燃えろって…」
ゾロリ「あー、そう……」←興味なさげ
ガオン「やれやれ……こりゃ暑い戦いになりそうだ( *¯ㅿ¯*)」
イヌタク「まあ、ともかく!正々堂々と頑張りましょう!」
イシシノシシ「がんばるだー!!」
モグ「燃えてきた!」ゾロリ「て、モグまで?!」
ビート「頑張りましょう、モグさん!」
モグ「はい!」モグとビート、固く握手。
パウダ「ライバルチームなんだけどね……」
イシシノシシ「あはは……( ̄▽ ̄;)」
いつの間にかモグはビートの肩に乗って一緒に燃え上がる中……。
ゾロリ「ちょ、おれさまトイレに行きたくなってきたぞー……」
ゾロリ以外「えー?!」
イヌタク「トイレは、ロビーまで行かないとありませんよ?」
ゾロリ「ちょ、急いで行ってきまーす!」
ガオン「なにやってんだか……( ̄▽ ̄;)ま、そんな所も可愛いんだけどな?」
ガオン以外「えっ?!」
────────────
ゾロリ、ロビーのトイレで用を足したら…。
ゾロリ「へー、スッキリしたぜー…さて、戻らなきゃな…」と行こうとすると、誰かが話しながら通りかかるのを目にした。そう、これこそが怪盗キューティーズ。ネコの3人組だ。
ゾロリ「かわい子ちゃんはっけーん♡」ゾロリが惚れたのもつかのま。彼女たちがあることを話してたのを耳にする。それは──────
???「…ふふ、うまくいったわね」
ゾロリ「ん?」

ゾロリは柱の陰に隠れ、そっと覗く。

怪盗キューティーズだった──────

怪盗A(ルナ)「あのキツネさん、ハズレ部屋に誘導できたみたい」

怪盗B(ノワール)「暖房29度…あれでバテると思ったのに」

怪盗C(ビビ)「魔法学校の妖精がいたのは誤算ね…チッ」

ゾロリ(なにぃ!?あの部屋、罠だったのか!?)

ルナ「でも本命は――黄金のお城じゃない」

ビビ「3カラットのダイヤ級の宝石…」

ゾロリ(さ、3カラットだと!?)

ゾロリ、ニヤリ。

ゾロリ(おれさまにふさわしいどデカい城にはちょいと小さいが……玄関に飾るのにはちょうどいいぜ……よし、そいつもいただくとするか)

そうゾロリが企んでる間に、キューティーズは宝石の前に立っていた。
ゾロリはそれに気付き、
ゾロリ「ちょ、ちょっと待て〜!その宝石はおれさまのものだ〜!」と、飛び出す。

ルナ「邪魔ものが入ったみたいね……」
ノワール「ちょっと……おしおきを」
ビビ「まかせて……」

ビビはスッとゾロリの前に華麗に登場し、ゾロリの手を握った。
ビビ「こんにちは、おじさん……」
ゾロリ「お、おじさん?!」
ビビ「ちょっと失礼するわね……」と、ビビはゾロリのほっぺに優しくチュッとキスをした。
ポーっとゾロリの耳と頭から湯気が出て、ゾロリメロメロに……。
そう、ビビのキス攻撃をくらうと、誰しもがメロメロ状態になってしまう。しかも、中々覚めない酔いだ。

ルナ「ふんっ……単純ね」
ゾロリがメロメロになってる隙に、キューティーズがガラスを割った途端に、警報音発生!!

───侵入者発見、侵入者発見──

ゾロリはメロメロ状態のまま、その場に座り込んでいる。
すると、イヌタクたちやイシシノシシたちも駆けつけてきた。
イヌタク「何事です?!……あ、ショーケースが……!」
町長「代々伝わる大切な宝石がぁ……」
ビート「あれが怪盗!任せてください!あの怪盗を捕まえて見せます!ジャスティス、キャーッチ!」とビートは縄を投げるが、キューティーズ、見事によける。
ガオン「早い!……ゾロリ!って、あれ?」と、ガオンメロメロ状態中のゾロリ発見。
イシシ「メロメロになっちまってるだ……」
モグ「ゾロリさん……」
すると、ノシシがゾロリの前に立ち、ビンタをくらわす。
ノシシ「何やってるだ、ゾロリせんせ!大ピンチだよ、ピンチ!」
ゾロリ「ぴ、ぴんち……?」と、ゾロリがふと皆が集まってるのと、怪盗キューティーズが宝石を持って逃げ回ってるのを見る。
町長「あー、代々伝わる宝石がぁ……」と崩れる。
イヌタク「あ、町長さん……」と支えるイヌタクに、
ビート「ダメだ、俺のジャスティスが効かない……」と何度縄を投げても捕まらないキューティーズ。
ガオン「どうすれば……」
ゾロリ「ふん……どうやらおれさまの出番のようだな……」と、ゾロリ立ち上がる。

ゾロリ「モグ!パウダ!おれさま特製のバズーカで雪玉を当てるんだ!!」
モグパウダ「はい!」ゾロリの指示に従い、モグはパウダと一緒に、ゾロリバズーカをキューティーズに向かって発射!しかし、当たらない……。
イシシノシシ「おらたちに任せるだ!!……おらっ!!」と、2人のおなら攻撃!
キューティーズは見事にくらう。
ルナ「な、なによこれ〜」ノワール「くさい匂いが付いちゃうじゃなーい」
ゾロリ「ガオン!!」ガオン「おう!」
ゾロリ、ガオン、目を合わせてうなずき、ぶっくらこい〜た発動!!
「スキーがだいすきー!」と同時に吹雪がきてキューティーズ固まる。
ゾロリ「今だ、ビート!!」
ビート「……ジャスティスキャーーッチ!!」
キューティーズ、無事捕獲!!

──────────────────

事は一件落着し、
町長「一時はどうなるかと思いましたが、みなさまの活躍で無事に宝石を守り抜くことができました!本当にありがとうございます」
ゾロリ「いやぁ〜、礼には及ばなさいぜ……」
ガオン「ま、今回は見事な活躍だったな……かっこよかったぜ……ゾロリ。……また会おう」とゾロリの肩をポンとし、旅に出た。
ゾロリ「ガオン……」
ビートがひょいと隣にたち、
ビート「まぁ、今回だけは認めてやろう……今回だけはな!!…確かにかっこよかったかもな……?さて、一件落着したなら、帰るとするか…」と照れくさそうに言って、帰っていった。
ゾロリは心があったかくなった。
ゾロリ(やっぱりおれさまって……世界一かっこいい男だぜ)
イヌタクは先に本部へと戻っていた。そして──────

モグ「ゾロリさん、かっこよかったです!!」
パウダ「お見事だったわ!」とキラキラした目で見つめるモグとパウダ。
イシシ「やっただねー!ゾロリせんせー!」
ゾロリ「いや〜それほどでも、あるぜ〜♪」ふとノシシを見て、
ゾロリ「ま、ノシシがおれさまを助けてくれたおかげでもあるけどな^_−☆」
ノシシ「おらだか?」
ゾロリ「そうさ?メロメロになってしまったおれさまを目覚めさせてくれたじゃないか?…かっこよかったぜ?」とノシシの頭なでなで。
ノシシ「…えへへ///ゾロリせんせに、かっこいいって言われただ…///」
モグ「ナイス、ノシシさんd( ̄  ̄)」
町長「あ、あの…ゾロリさん?」
ゾロリ「…はい?」

町長「見事な活躍でした。よろしければ、これを受け取ってください」

町長は優勝賞品の黄金の城を差し出した。しかし、それは小さな黄金の城"の"模型だった。
ゾロリ「な、黄金の城って……模型だったのか?!」
町長「はい!私が以前手に入れた黄金に輝くお城の模型です!」
と、お城の模型だけを渡して、宝石を抱え、どこかへ行ってしまった。
ゾロリ「がっくし……」ふと、モグとパウダを見たら、2人はキラキラした目でそれを見ていた。
イシシ「ありゃりゃ……」
ゾロリ「モグ、パウダ……お前たちにやるよ?」
モグ「え、いいんですか?」
ゾロリ「ああ!おれさまは、もっとでっかい本物の城を手にしてやるぜ」
パウダ「ありがとう、ゾロリさん!」
モグ「そういえば、パウダは明日からまた魔法学校に行くんだっけ?」
パウダ「そうだったわ!もう夕方だし、家に帰らなきゃね……」
モグ「ゾロリさん、イシシさん、ノシシさん!色々とありがとうございました!また、どこかで会いましょう」
ゾロリ「あー!何か困ったことあれば、いつでも呼んでくれよな!」
イシシ「また、どこかで会うだよ!」ノシシ「楽しかっただね!また、一緒に大会出るだよ!」
──────
パウダとモグが見えなくなるまで手を振って見送ったゾロリたち。
ゾロリ「よし、おれさまたちも修行の旅の続きに出発だー!」
イシシノシシ「はいだー!!」
すると、ふとゾロリの顔に小さなメモ用紙が張り付いた。
ゾロリ「……ん?なんだ?」とみると、
──────ゾロリさんへ
活躍お見事でした。しかし、あなたは今"指名手配中"です。今回は見逃しますが、次会った時は逮捕しますからね──────イヌダ
イシシ「イヌタクからだ!」ノシシ「お礼の手紙だか?」
ゾロリ「へっ、逮捕されてたまるかっつーの」
と、手紙を投げ捨て、歩こうとした瞬間、 
──────ゾロリだー!!逮捕だー!!と、イヌタクとは別の警察たちに見つかった。
ゾロリ「ま、まずい!!逃げろー!!」と夕焼けに染まる草原を走るゾロリたち。
ノシシ「へへっ、なんかこうやって警察を追いかけっこするのも楽しいだよ?」
ゾロリイシシ「は?!」
ノシシ「ゾロリせんせと、イシシと3人でこうしてる時間が好きだよ」
ゾロリ「ノシシ……」
イシシ「おらも楽しいだー!ゾロリせんせと一緒に旅するのが楽しいだよ」
ゾロリ「イシシ……」
立ち止まると、いつの間にか警察の姿は見えなくなっていた。
ゾロリ「おれさまも、イシシノシシとこうして一緒に旅するのが楽しいし、2人が大好きだぜ?」
イシシノシシ「おらたちもゾロリせんせが大好きだ〜……」とゾロリに抱きつく。
ゾロリ「これからも、3人で旅を続けような?」
イシシノシシ「はいだ〜!」

ゾロリはニコッとして立ち上がり、
ゾロリ「ママ、次こそお城を手に入れてみせるからね……」と夕空に浮かぶママに似た雲に向かってそう呟いた。

ゾロリ・イシシ・ノシシの
修行の旅は、これからも続くのであった。

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