先程まで赤くもちもちとしていた頬が
嘘だったかのように
青白い顔で私のことを見る。
散らばった資材を見て、
慌てふためきながら小松田さんが
拾おうとする。
小松田さんの手は
ひと目でわかるほど震えていた。
片手で資材を持ち、片手で素早く拾う。
だが、紙のせいで足が滑ったのか、体制が崩れ、
またもや資材がバラバラに散らばってしまった。
あの時と同じ。
あの時聞こえた心の声と同じように今も、
小松田さんの声は震えたままだった。
私の足元にまで届いている
1枚の紙を拾い上げる。
小松田さんのところまで駆け寄り、
目線を合わせる。
遠くから見てたからわからなかったけど、
小松田さんの目は少しだけうるうると
涙が溜め込まれていた。
散らばっている紙を全て拾い上げ、
両手できちんと落とさないように持ちかえる。
下げていた腰をあげ、
まんまるな小松田さんの目を見る。
少しだけ戸惑っている小松田さんを横目に、
天女の部屋に向かう。
これ以上話さない方が、
あの人にとってもいいでしょ。
そう思いながら、ギシギシと鳴る
廊下の音を聞いていた。
突然、後ろから小松田さんの
荒らげた声が聞こえる。
反射的に振り返り、小松田さんを捉える。
小松田さんはいつの間にか、
尻もちを付いていた体を起こしていたようだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!