第14話

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2024/03/02 03:00
翌日の2時限目──
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
これより、セシル寮3組VSウォルド寮4組のドッチボールクラス対抗戦を行う!!
今日は体育でドッチボールだ
風の噂によると、勝ったクラスのMVPにはステラ……特待生になるための証が授与されるらしい
そのため、皆気合が入っている
アーニャがハチマキをギュッと結び、気合を入れていると例の3人が絡んできた
色々言っていたのを要約すると、「同じチームだから、よろしく!お互い頑張ろうね!」という様な感じだ………たぶん違うけど
そうこうしている内に開始時間となり、集合がかかった
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
体育のボビー先生が病欠のため、ワシが代わりにこの授業を担当する
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
皆紳士淑女の精神にのっとり、エレガントなプレーを心がけるように!
はい!
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
では……試合開始!!
「ピーッ」という笛と同時にヘンリー先生がボールを上げる
それをキャッチしたのはダミアンで、他の子から「頑張れダミアンくーん!」と声援が聞こえた
ダミアンが全力でストレートを投げる
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
でりゃっ!!
それを相手チームは避けて行き、やがて1人の生徒の正面まで飛んでいった
ボールはその子に当た────





──る代わりに、その子は片手でバシッと容易くキャッチしてしまった
他の子より並外れたガタイのその子は、人民軍陸軍司令部少佐の息子であるビル・ワトキンス君だった
同じ6歳とは思えない迫力がすごい
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
なによあのバケモノは!?絶対同い年じゃないわよ!!
ユーイン・エッジバーグ
ユーイン・エッジバーグ
あ……あれは“魔弾のビル”……!!
あなた
魔弾………?
ユーイン・エッジバーグ
ユーイン・エッジバーグ
その恵まれた体格と頭脳で幼稚園時代から数々の球技大会を総ナメにしてきたポーダムの怪童……
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
幼稚園で大会なんてあんの!?
あなた
それって試合成り立つの……?
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
フン!メガネなんかかけてたら危ないぜオッサン!
あなた
オッサン……??
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
心配ありがとう、総裁の息子ダミアンくん
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
でもボクには当たらないから大丈夫
そう言ったビル君が勢い良く投げると、ドカッという音が続き、一気に4人も当ててしまった
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
ちょっと!あんなの当たったら死んじゃう!!
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
安心しろ、女子には手加減する
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
それはそれでなんかムカつくー!!
怒りを乗せて投げられたボールは軽々と取られ、流れるようにそのままベッキーにぶつかった
その後も彼によって次々と当てられ、こちらのチームは早くも少数になってしまった
あなた
(え、なん……これ、どうすれば良いの?)
だが久々で、尚且つ女子の私が現役の男の子に勝てる訳が無い
あなた
(わざと当たるか……いやでも──)














あなた
(それは逃げてるみたいで………)
あなた
(なんかヤダ!!)
遺伝子の父親譲りなのか分からないが負けず嫌いが発動し、たまたま転がってきたボールをビル君に向って投げた


…………フリをして、他の子に向って投げる
あなた
(フェイント、上手く行け!)
察したビル君が後ろにボールが向かう方向の子に「避けろ!」と指示を出すが、反応が遅くて当たってしまった
ボールは跳ね返って外野の子がキャッチする
たがいくら名門校の生徒と言っても6歳………バカ正直にビル君に向って投げ、軽々とキャッチされてしまった
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
フェイントか……やるな
あなた
…………いやだなぁ、たまたまだよ
1人脱落させた所でこちらが何か変わることはない
未だこちらが劣勢のままだ
ユーイン・エッジバーグ
ユーイン・エッジバーグ
ヤバいですダミアンさま……ウチらボロクソです!
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
(くそっ、このままじゃ負ける………!イヤだ、絶対MVPになって星を取るんだ!)
ビル君がダミアンに向けてボールを投げると、エミールとユーインがそれぞれ盾となって守る
その都度ボールはビル君の元に戻ってくるため、恐らくボールの回転や角度等を計算してやっているのだろう
改めて、本当に6歳なのか疑いたくなってしまう
再度ビル君はダミアンに向ってボールを投げた



───ハズだった
ダミアン君は避け、その隣に居た私も少し横に移動
その瞬間、ボールの起動が変わって私に向かって来た
あなた
(フェイント?!ヤバい当たる……!なら、せめて──)

──〝味方にボールを渡せ!〟
私は反射的に右手でボールを弾く
ボールは綺麗に放物線状を描き、向こうの味方の外野にギリギリで届いた
瞬間、「ピッ」と笛がなる
ヒットした合図だ
右手の甲がじんじんと痛む
外野に移動する直前、ビル君が話しかけてきた
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
フェイントをかけられた気分はどうだ
「フェイントをかけられた気分」つまり──
あなた
…………あぁ、そういう事
あの時、球は確実にダミアンの方に向かっており、彼の視線もダミアンを見ていた
だがそれはフェイントで、私の方は一切見ずに軌道を変える投げ方をして、私に当てたのだった
本当に、彼は6歳なのだろうか
あなた
ほんっと腹立つ……!
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
その割には、「面白い」という顔をしているな
初めてこの学校で大人に近い思考をする子に出会えて、少し嬉しくなってしまう
子供に合わせている私にとっては、始めての感覚だった
それ故に自然と口角が上がる
あなた
君が大人になったときが怖いけど、楽しみ
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
そうか





私が外野に行くと、ベッキーが私の右手を見てギョッとした
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
ちょっ……あなた、手!すんごい紫よ!
あなた
あ、ホントだ……帰ったらお父様に診てもらうよ
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
そういえば医者だったわね………
あなた
そんなことより、面白い事になってるよ
内野の方を見ると、丁度ビル君がアーニャに投げようとしている所だった
アーニャの足元を狙ってボールを投げるが、アーニャはその前に飛んで避ける
ボールが回ってきてノールックでキャッチしたビル君は次にアーニャの右側を狙うものの、軽々と避けられてしまう
「ならば左……」と左を狙っても、それも簡単に避けられてしまった
それもそのはず、アーニャは心を読める超能力者
恐らく、彼の思考を読んで避けているのだろう
そうとも知らず、ビル君は特殊な投球をするが、アーニャが取った行動はは直立不動
ボールは逆にアーニャを避ける様に曲がって、別の生徒に当たった
私の時とは違い、綺麗に決めれなかったのが余程悔しかった様で………ビル君は目に涙を浮かべている
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
な……なかなかやるな、おまえ
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
フッ
先程のボールは敵の外野がキャッチし、投げる
ベッキー・ブラックベル
ベッキー・ブラックベル
アーニャちゃん外野!気を付けて!
ベッキーの声でアーニャは移動しようとするが、足がもつれて転倒してしまった
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
あうっ
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
バカ、早く立て!
外野からのパスを受け取ったビル君は、転倒したままのアーニャに向って勢い良く投げる
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
いくらキサマと言えど、その体勢で避けることはもはや不可避ッ!!
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
死ねぇい!!!
手加減という事を知らないボールはかなり強い勢いのまま、身構えたアーニャに直撃───







──する前に、ダミアンがボールを捕えた
だが勢いに負けボールを離してしまい、ボールはそのまま重力に従って床へと落ちた
直後、笛が鳴り、先生の「ヒット」という声が響く
ユーイン・エッジバーグ
ユーイン・エッジバーグ
な………
エミール・エルマン
エミール・エルマン
何してんすか、ダミアンさま!
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
し、しまった……MVPが…………
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
アーニャまもってくれた……?おまえ、いいやつ?
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
ち……ちがう!あいつの球にやられっぱなしで悔しいから、ちょっと捕ってみたかったっていうか………
あなた
ダミアンはツンデレのようだ
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
ツンデレじゃない!ナレーションを声にだすな!!
おっと、私としたことが……
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
くそっ、残りはおまえだけだ、任せたぞ……!
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
……!
アーニャがすくっと立ち、足元のボールを拾う
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
じなんのしを、むだにはしない………
ダミアン・デズモンド
ダミアン・デズモンド
死んでねーし!!
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
アーニャが、かたきとる!


アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
(だいじなのは、たいじゅーいどー)
 
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
(ふみだすちからと、こしのひねりをおててにつたえて)
 
アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
(そんでおてては、えーとえーと………とにかく!)


アーニャ・フォージャー
アーニャ・フォージャー
(ひっさつ!星を掴む光の矢すたーきゃっちあろー!!!!)

アーニャの投げたボールは相手の内野に届いて……
なんてことは無く、足元に強く打ち付けられた後床を転がり、ビル君が拾ってアーニャに当てたため、ゲームは終わりとなった
相手の子たちが次々にビル君の星ゲットを喜んでいるが………
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
ん?星?
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
こんな一授業のミニゲームで与えるわけがなかろう
だそう
ビル・ワトキンス
ビル・ワトキンス
え!?
あなた
まぁ、知ってた………
ヘンリー・ヘンダーソン
ヘンリー・ヘンダーソン
むしろ試合中に「死ね」などと暴言を吐いたり、手加減ができず負傷者を出した君には雷をくれてやってもいいのだぞ
先生はそう言って私の右手を指さした
ビル君は私の手を見ると、しゅんと落ち込んでしまった
見た目ほど痛くないんだけどなぁ……
こうして、ドッチボールは終わりを迎えたのだった
あなた
いくらハイk……某バレーの映画に影響受けたからと言って、3000文字は引くんだけど
すいませんでした…………(土下座

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