手合わせの後、
少しだけ諸泉くんと話をしていた
すると、少し遠くの草むらから音が
パッと視線を移すと、
高坂殿と池田くんの姿が
諸泉くんが驚いたように
高坂殿の名前を叫んでいたから
多分、諸泉くんは呼んでいないのだろう
だが、それはそれとして
何故池田くんがここにいるのだろうか
先程から気配は感じていたが...
立花くんたちに任せていた筈だけど、
冒険心で飛び出してきたのだろうか
意欲があるのはいいことだ
私が彼の成長を止める理由はない
高坂殿の「 修行は順調か 」という問に
諸泉くんはすぐさま、「 はい 」と返答する
勢いで言ってしまったのだろうか
諸泉くんは声を漏らしてから、こちらを見やるので
私は笑みを向ける
すると諸泉くんは、肩を撫で下ろしたように息をした
諸泉くん、前よりは酷くないみたいだが
まだ自信がないところはあるのだろう
それも致し方なし
私は池田くんに声をかける
突然話しかけられたからか
池田くんは慌てて返事をした
驚かせてしまったことには罪悪感を感じながらも
私は池田くんの前にしゃがみ込む
会話のタネを作ろうと、私は諸泉くんの話を持ちかけた
本人の前で聞くことではないかもしれないけれど
実際、諸泉くんは驚いて緊張している
問うた池田くんは、少し困った素振りを見せた
「 ありがとう 」
そう言って、私は池田くんに微笑む
そして、そのまま諸泉くんに顔を向けた
驚いた私は、思わず頬をつかんだ
確かに口角は上がっている気がするけど…
三人そろって言うまでって…どれだけだ
困惑していると、
段々と頬が痛くなってくる
どうやら、本当ににやけてしまっていたらしい
「 高坂さんがそんなこと言うなんて... 」
褒められたのか、
怒られたのかのかわかりづらいけど
多分褒め…に入るのだろうな
だって、諸泉くんの呟きを耳にした高坂殿が
諸泉くんの頭掴んで沈めている
照れ隠しというやつだ
高坂殿は諸泉くんの反抗をものともせず、
諸泉くんの頭をわしゃわしゃする
可愛がって…いるのだろうか?
先輩後輩の戯れというのは、見てて微笑ましいものだな
私は思わず笑みがこぼれた
二人を見て笑う私を、じっと見つめる池田くん
私は高坂殿たちを見つめながらも
そんな彼に、意識を向けていた













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。